現在,日本の人口の約66 %が都市部に住んでいるとされる。都市部では農村部よりも冠動脈疾患が多く,さらに発症率が増加しているとの報告もある。日本人における生活習慣の欧米化や飲酒,喫煙などの影響を検討していくなかで,「都市部の働きざかりの男性」に注目したコホート研究の意義は大きい。
大阪職域コホート研究では,大阪府立健康科学センターが受託している職域の定期健診を通じ,事業所勤務者の男性を対象とした5000人規模(平成20年度現在)のコホートの追跡を行っている。事業所の健診受診率は毎年90 %以上と高い一方で,異動や就職・退職があり,いわゆる地域コホートにくらべて人の出入りが多い。そのため,各事業所の健診担当者や産業医の協力のもと,対象者や発症状況の正確な把握に努めている。職種ごとの検討も行われており,これからも職域コホートならではの結果が期待される。
・2009.3.10
[2002年文献] 1963~1994年にかけ,都市部の男性勤務者の冠動脈疾患は増加
・2009.3.10
[1998年文献] 都市部の男性勤務者で,中程度のアルコール摂取は冠動脈疾患リスクを低下させる
・2009.3.10
[1994年文献] 都市部の男性勤務者で,HDL-Cは冠動脈疾患リスクと逆相関
・2009.3.10
[1987年文献] 1960~1980年代にかけ,都市部の男性勤務者で冠動脈疾患が増加傾向