日本からブラジルへの移住が始まったのは1908年。いまやブラジルには最大の日系人社会が形成されている。1987年の日系ブラジル人研究センターおよび日本の総務庁(現・総務省)統計局調査によると,ブラジル全土の日系人は128万7000人(ブラジルの人口の0.9 %)にのぼり,その7割近くが南東部のサンパウロ州に住んでいた。
日系ブラジル人の糖尿病有病率は,世界でも最悪レベルにあるといわれる。その原因として,日本人と共通の遺伝的背景をもつ一方で,食事をはじめとする生活習慣が急激に欧米化するなど環境的な要因の影響を受けていることがあげられる。ブラジル人は伝統的に米,パン,果物などをよく食べるが,こうした食事因子が耐糖能異常の発症につながっている可能性も示唆される。そのため,日系ブラジル人糖尿病研究では食事や栄養に関する調査も行った。レプチン,アディポネクチンなど代謝系の危険因子や,メタボリックシンドロームについても検討している。
・2007.9.14
[2005年文献] 日系ブラジル人において,糖尿病は全死因死亡の独立した危険因子
・2007.9.14
[1998年文献] 日系ブラジル人では,IGTはIFGよりも心血管疾患関連因子の保有数が多い
・2007.9.05
[2006年文献] アディポネクチン低値は,耐糖能異常(IFG+IGT+糖尿病)発症の有意な危険因子
・2007.9.05
[2005年文献] 日系ブラジル人の全脂肪摂取量はメタボリックシンドロームと相関し,リノール酸摂取量は逆相関した
・2007.9.05
[2002年文献] 日系ブラジル人の糖尿病は,1990年代前半~後半にかけて増加した