世界初の,食塩と血圧に関する国際共同研究
場所 32か国52集団 (うち日本3集団)
INTERSALT各地域を示す地図
対象 20~59歳の男女
開始年 1985年 (横断研究)
登録数 10079例 (男性5045例,女性5034例)
1集団につき200例を登録した。
米国(シカゴ,グッドマン-アフリカ系アメリカ人,グッドマン-白人,ハワイ, ジャクソン-アフリカ系アメリカ人,ジャクソン-白人),ブラジル(シングー族,ヤ ノマミ族),カナダ(ラブラドール,セント・ジョン),メキシコ,アルゼンチン, コロンビア,トリニダード・トバゴ,イギリス(ベルファスト,バーミンガム,南 ウェールズ),ソビエト連邦,東ドイツ,西ドイツ(ベルンリート,ハイデルベル グ),イタリア(バッシアーノ,グッビオ,ミラノ,ナポリ),スペイン(トレフォ ン,マンレサ),ポルトガル,ベルギー(シャルルロワ,ヘント),フィンランド (ヨエンスー,トゥルク),オランダ,デンマーク,ハンガリー,ポーランド(クラ クフ,ワルシャワ),アイスランド,マルタ,日本(大阪,栃木,富山),インド (ラダック,ニューデリー),中国(北京,南寧,天津),台湾,韓国,パプア ニューギニア,ケニヤ,ジンバブエ
調査項目 血圧(5分間の安静ののち,ランダムゼロ血圧計*を用いて座位で2回測定),24時間蓄尿(尿量,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム),心拍数,運動状況,飲酒,喫煙,服薬状況,年齢,身長,体重,人種,教育,経産歴(女性のみ),閉経状況(女性のみ)。

 *ランダムゼロ血圧計とは,測定中には無作為な値が表示され,測定が終わるまで結果がわからないしくみになっている水銀血圧計。末端数字傾向や測定者バイアスが小さくなるため,多くの疫学研究で用いられている。

参考 Am J Clin Nutr 1997; 65(suppl): 624S-642Spubmed
医学のあゆみ vol. 207 no.7 459-462
*BMJ 1993; 306: 1319-22
 INTERSALT(INTERnational study of SALT and blood pressure) Studyは,世界32か国の52集団について,24時間蓄尿により尿中ナトリウム・カリウム排泄と血圧との関連について検討した国際共同研究。WHOや米国国立心肺血液研究所(NHLBI)のサポートを受けて行われた。食塩をまったくとらないことで知られるブラジルのヤノマミ族も,調査の対象に含まれている。

 食塩と血圧の関係についてはこれまでにも多くの調査研究が行われてきたが,調査手法にばらつきがあり,集団間で結果を比較したり,国際的な傾向をつかんだりすることが難しかった。

 そこでINTERSALT研究では,質の高いデータを収集するために,高度に標準化された調査手法が用いられた。例えば調査マニュアルや質問票は統一され,翻訳の正確性もチェックされた。検査機器は,血圧計や蓄尿器から聴診器にいたるまで,世界中で同一のものが使用された。さらには,収集した24時間蓄尿のサンプルは世界各地からベルギーのルーベンにあるセント・ラファエル大学に運ばれ,生化学的な分析はすべてそこで行われた。

 その結果,食塩摂取量の多い集団では年齢とともに血圧が上昇する度合いが大きいこと,また,個人間の検討で,ナトリウム摂取量は血圧と正の関連,カリウムは負の関連,アルコールは正の関連があることが明らかになった。

INTERMAP―INTERSALT相関図


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