沖縄県全域 |
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1971年 | |
沖縄県に住むすべての慢性透析患者 | |
5246人(男性2981人,女性2265人) | |
誕生日,性別,透析開始年月日,体重,身長,血圧,総蛋白質,血清アルブミン,総コレステロール,トリグリセリド,血中尿素窒素,血清クレアチニン,血中尿酸,透析状況 | |
Kidney Int. 1993; 44: 115-9. http://w3.u-ryukyu.ac.jp/sannai/lab.html |
「長寿」のイメージの強い沖縄県は,実は県民の400人に1人が透析患者で,人口当たりの透析施設数が最も多いという,日本有数の「透析県」でもある。OKIDS(Okinawa Dialysis Study)は,透析患者を登録し,心血管疾患の発症や生命予後の追跡を行っている観察研究。沖縄で透析療法が開始された1971年までさかのぼって調査が行われているため,沖縄県下で慢性透析療法が施行され少なくとも1か月以上生存した「すべての症例」が登録されており,追跡期間も30年にのぼる。
他に類を見ないこの悉皆性の高さには,いくつかの理由がある。たとえば地理的条件だ。沖縄は海に囲まれ,しかも本土から離れているために人口の増減が少ない。末期腎疾患や重篤な心血管疾患が発生しても,急性期は県内で診察される。また,医療機関の連携体制が整っていることも大きい。沖縄全域の27の透析施設が協力することにより,検査データや追跡データがまとめられ蓄積されてきた。
2000年末までの30年間をもって調査は一旦終了となっている。施設数の増加などにより,従来の精度を保ちながら悉皆性の高い全数調査を行うことが困難になってきたためだ。しかし,そのなかから透析患者の臨床背景や予後に関する重要なエビデンスが次々と報告されており,いくつかは国内外のガイドラインにも引用された。また,沖縄県総合保健協会(Okinawa General Health Maintenance Association,OGHMA)の10万人規模の住民健診データとの照合により末期腎疾患発症の危険因子を調べる研究や,遺伝子多型を解析して予後との関係を調べる研究も行われている。2006年には,OKIDSの高血圧を有する透析患者を対象に降圧薬療法の効果を検討する前向き介入研究OCTOPUS(olmesartan clinical trial in Okinawan patients under OKIDS)も開始された。
・2008.5.15
[2004年文献] 男性のBMIは末期腎疾患の有意な危険因子
・2008.5.15
[2003年文献] 透析患者(特に糖尿病)のうち,透析期間が長い人では死亡リスクが高い
・2008.5.15
[2003年文献] 高血圧は末期腎疾患の有意な危険因子
・2008.4.07
[2003年文献] 蛋白尿は末期腎疾患の危険因子
・2008.4.07
[2002年文献] 沖縄の透析患者の割合は急激に増加している
・2008.4.07
[1993年文献] 1971~1991年にかけ,新規,高齢,糖尿病による透析患者が増加
・2008.4.07
[1993年文献] 血清アルブミン,血清クレアチニン,BMI低値は透析患者の全死亡予測因子
・2008.2.05
[Editorial View] 沖縄透析研究(Okinawa Dialysis Study: OKIDS)から心-腎連関を探る