阪神地区 |
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急性心筋梗塞発症者 | |
約9,400例 (2009年8月現在) | |
発症1週間以内に大阪の25の関連病院・施設に受診し,以下の3つの基準のうち2つ以上を満たす症例を前向きに登録 (1) 胸中央部の痛み,絞扼感,圧迫感が30分以上続く (2) 心電図の特徴的変化: 2つ以上の胸部誘導または1つ以上の四肢誘導における0.1 mV以上のST上昇,2誘導以上における0.1 mV以上のST下降,異常Q波,または2誘導以上におけるT波陰転 (3) 血清クレアチンキナーゼの上昇(正常値の2倍以上) |
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1998年 | |
年齢,性別,身長,体重,血圧,心拍数,心電図,喫煙,飲酒,就業状況,総コレステロール,トリグリセリド,CRP,既往歴(登録前の心筋梗塞,脳血管疾患,梗塞前狭心症など),治療状況(経皮的冠動脈インターベンション,冠動脈バイパス手術など),服薬状況,SDSスコア(自己評価式抑うつ性尺度),遺伝子多型(別途承諾者のみ),予後(死亡,心血管死,再梗塞,再血行再建,心不全入院など) | |
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/cardiology/27research/2742res.html |
OACIS(Osaka Acute Coronary Insufficiency Study,大阪急性冠症候群研究会)は,阪神地区の25施設で行われている急性心筋梗塞(AMI: acute myocardial infarction)の登録研究。虚血性心疾患の一次・二次予防戦略を確立し,日本人のエビデンスを構築することを目的としている。
AMIをはじめとする虚血性心疾患は,生活習慣の欧米化や高齢者人口の増加にともない,増加傾向にある。欧米の疫学調査からは,糖尿病や高血圧,喫煙,肥満といった古典的な危険因子が虚血性心疾患に関与していることが明らかになっているが,欧米と日本とではそもそも虚血性心疾患の発症率が大きく異なっている。その背景には生活習慣の違いや,遺伝的背景などの要因があると考えられるため,欧米の結果を日本でそのまま適用することはできない。そこで,多施設共同で組織・運営する急性心筋梗塞の登録・予後追跡システムであるOACISが開始された。
OACISでは登録時の患者背景,採血データ,および発症後に行われた薬物治療やインターベンションの詳細な情報も収集している。また,予後調査における追跡率は約99%と非常に高い。登録症例数は約9,400例,血清・DNAバンク登録症例数も4,000を数える世界でも有数の心筋梗塞データベースである。日常臨床に重要なエビデンスを還元し,日本のみならず,アジアや世界にも情報を発信し,貢献することを目指している。
現在,前向き観察研究からの発展として,介入試験や遺伝子解析も行われている。
・2019.3.28
[2014年文献] 急性心筋梗塞発症数の日内変動パターンは生活習慣因子と関連する
・2013.10.31
[2012年文献] 血清EPA値,DHA値が低い急性心筋梗塞患者では,心不全入院+全死亡リスクが増加
・2013.6.27
[2011年文献] 男性の心筋梗塞後の抑うつ症状は心血管疾患イベントリスク
・2013.1.30
[2012年文献] 急性心筋梗塞再発の予測因子は糖尿病,以前の心筋梗塞,年齢
・2010.3.17
[2009年文献] 「PCI時代」も糖尿病は急性心筋梗塞後の心不全再入院リスクと関連
・2010.3.17
[2004年文献] 梗塞責任動脈への側副循環の割合は,年齢とともに低下
・2010.3.17
[2004年文献] 日本の急性心筋梗塞患者の入院日数は欧米にくらべて長い
・2010.1.20
[2006年文献] リンホトキシンα(TNF-β)遺伝子の多型は心筋梗塞発症後の死亡リスクと関連
・2009.9.04
[2005年文献] 急性心筋梗塞発症後の喫煙は死亡リスクが高い
・2009.9.04
[2003年文献] PCI施行急性心筋梗塞患者で,心房細動は1年後の死亡の予測因子