[1998年文献] 親に高血圧歴がある日本人は,血圧が高くなりやすい
親に高血圧既往があると血圧が高くなりやすく,特に40~59歳の年齢層でその傾向が強かった。このことは,加齢にともなう血圧の上昇が,遺伝的要因と環境要因の両方の影響を受けることを示唆している。
Naruse Y, et al. Relationship of parental history of high blood pressure to blood pressure: combined findings of three Japanese population samples, the INTERSALT study. J Hum Hypertens. 1998; 12: 215-20.
- コホート
- IINTERSALT研究に参加した32か国52集団のうち,日本の3集団について検討した。
大阪府吹田市の生命保険会社の社員とその配偶者200例,富山県のアルミ建築資材工場に勤める200例,および栃木県の農村住民200例のうち,データに不備があった9例を除いた20~59歳の591例(1985年)。大阪は197例,栃木は194例,富山は200例。
親に高血圧既往があったのは256例。 - 結 果
- 単変量解析により,性別および年齢層ごとに,親の高血圧既往の有無(両親のいずれかにあれば有とした)と種々の因子の関連を調べた。
親の高血圧既往がある群で,ない群よりも有意に高い収縮期血圧を示したのは40~59歳の女性(P<0.01)。また,親の高血圧既往がある群で,ない群よりも有意に高い拡張期血圧を示したのは20~39歳の女性(P<0.05),および40~59歳の女性(P<0.01)。
親の高血圧既往がある群で,ない群よりも降圧薬服用率が有意に高かったのは40~59歳の男性(P<0.01)。
親の高血圧既往との関連がなかったのは,喫煙,飲酒,尿中電解質。
親の高血圧既往がある群とない群の補正後の血圧の差は以下のとおり(ある群-ない群の値。それぞれ収縮期血圧,拡張期血圧)。*P<0.05,**P<0.01。
[20~39歳の男性] -0.43 mmHg, -2.28 mmHg [20~39歳の女性] 3.29 mmHg, 3.80 mmHg* [40~59歳の男性] 5.18 mmHg*, 2.74 mmHg [40~59歳の女性] 6.85 mmHg**, 5.50 mmHg**
以上のように,親に高血圧既往があると血圧が高くなりやすく,特に40~59歳の年齢層でその傾向が強かった。このことは,加齢にともなう血圧の上昇が,遺伝的要因と環境要因の両方の影響を受けることを示唆している。