[2002年文献] あかるい人は家庭収縮期血圧が高い
日本人一般住民を対象とした断面解析において,EPQ-R質問票でみた性格と家庭血圧値との関連を検討した。その結果,社交性・陽気さの指標であるEスコアと家庭収縮期血圧との有意な正の相関がみとめられた。
Hozawa A, et al. Relationship between personality and self-measured blood pressure value at home: the Ohasama study. Clin Exp Hypertens. 2002; 24: 115-23.
- コホート
- 40歳以上の2769人のうち,町外に就労していた621人,入院中の124人,寝たきりまたは精神的な異常がある40人,同意が得られなかった322人を除いたうえで,家庭血圧測定(週3日以上×4週間)を行い,性格に関する質問票(short-form EPQ-R*: Eysenck personality questionnaire revised)への回答にも不備がなかった999人(男性430人,女性569人)(断面解析)。
平均年齢は男性59.9歳,女性61.7歳。
*short EPQ-Rは48項目からなり,以下の4つの下位尺度についてそれぞれ0~12点のスコアとして算出される。
・ 精神病質傾向(psychoticism,Pスコア): 逸脱傾向の指標
・ 外向性(extroversion,Eスコア): 社交性,陽気さの指標
・ 神経症傾向(neuroticism,Nスコア): 不安および情緒不安定の指標
・ 社会的望ましさ(social desirability,Lスコア)
ただし,Lスコアについてはその意義が確立されていないため,この研究では使用しなかった。 - 結 果
- Pスコア(非協調性)の平均は3.2,Eスコア(外向性)は5.7,Nスコア(神経症的傾向)は6.1だった。
二変量解析により,Pスコア,EスコアまたはNスコアと家庭血圧値(収縮期血圧[SBP],拡張期血圧[DBP])との関連を検討した結果,PスコアおよびEスコアはいずれも家庭SBP,および家庭DBPの両方と有意な相関を示した(Pスコア: SBPとのr=0.09[P<0.01],DBPとのr=0.06[P=0.04],Eスコア: SBPとのr=0.14[P<0.01],DBPとのr=0.07[P=0.03])。
一方,Nスコアと家庭SBPおよび家庭DBPの関連はみとめられなかった。
多変量回帰分析により年齢,性別,アルコール摂取,肥満および降圧薬服用で調整を行った結果,Eスコアと家庭SBPは有意な正の相関を示した(P=0.01)。
Eスコアと家庭DBP,PスコアおよびNスコアと家庭SBPおよび家庭DBPの有意な関連はみとめられなかった。
◇ 結論
日本人一般住民を対象とした断面解析において,EPQ-R質問票でみた性格と家庭血圧値との関連を検討した。その結果,社交性・陽気さの指標であるEスコアと家庭収縮期血圧との有意な正の相関がみとめられた。