[2007年文献] 喫煙者よりも禁煙者,禁煙者よりも喫煙未経験者のほうが平均余命が長い
日本全国から無作為に抽出した30歳以上の一般住民を対象としたコホート研究において,喫煙状況(喫煙未経験/禁煙/喫煙)と平均余命との関連を検討した。19年間の追跡の結果,多くの年齢層において,喫煙者よりも禁煙者,禁煙者よりも喫煙未経験者のほうが平均余命が長い傾向がみられた。日本の平均寿命はすでに世界でもっとも高いが,喫煙率を低下させることにより,さらに2~3年延びる可能性がある。
Murakami Y, et al. Life expectancy among Japanese of different smoking status in Japan: NIPPON DATA80. J Epidemiol. 2007; 17: 31-7.
- コホート
- NIPPON DATA80
無作為抽出された国内300地区に住み,1980年の第3次循環器疾患基礎調査に登録された30歳以上の10546人のうち,追跡不可能となった908人,ベースライン時の喫煙に関するデータに不備があった13人を除いた9625人(男性4237人,女性5388人)を19年間追跡(1980~1999年)。 - 結 果
- ベースライン時の喫煙率は,男性62.9%,女性8.8%。
喫煙状態ごとの平均余命(年)は以下のとおり。
◇ 男性
40歳 [全体]39.5,[喫煙未経験]42.1,[禁煙]40.4,[喫煙]38.6
50歳 [全体]30.2,[喫煙未経験]32.6,[禁煙]30.9,[喫煙]29.4
60歳 [全体]21.5,[喫煙未経験]23.8,[禁煙]22.1,[喫煙]20.7
70歳 [全体]13.6,[喫煙未経験]14.9,[禁煙]13.8,[喫煙]13.1
80歳 [全体] 7.5,[喫煙未経験] 7.7,[禁煙] 7.6,[喫煙] 7.4
◇ 女性
40歳 [全体]45.4,[喫煙未経験]45.6,[禁煙]45.9,[喫煙]43.4
50歳 [全体]35.8,[喫煙未経験]36.0,[禁煙]35.9,[喫煙]33.9
60歳 [全体]26.6,[喫煙未経験]26.8,[禁煙]25.9,[喫煙]25.2
70歳 [全体]17.9,[喫煙未経験]18.0,[禁煙]17.5,[喫煙]16.9
80歳 [全体]10.6,[喫煙未経験]10.5,[禁煙]11.9,[喫煙]11.3
また,男性について喫煙箱数ごとに平均余命を調べた結果,50歳未満の年齢層においては平均余命が1日1箱未満>1日1~2箱>1日2箱以上であったが,50歳以上の年齢層では,1日1~2箱の人の平均余命がもっとも長いという値が示された。
◇ 結論
日本全国から無作為に抽出した30歳以上の一般住民を対象としたコホート研究において,喫煙状況(喫煙未経験/禁煙/喫煙)と平均余命との関連を検討した。19年間の追跡の結果,多くの年齢層において,喫煙者よりも禁煙者,禁煙者よりも喫煙未経験者のほうが平均余命が長い傾向がみられた。日本の平均寿命はすでに世界でもっとも高いが,喫煙率を低下させることにより,さらに2~3年延びる可能性がある。
この論文の解析はベースライン時の喫煙状態が19年間で変化しなかったことを前提としており,喫煙未経験者が喫煙を開始したり,喫煙者が禁煙したりといった変化が結果に影響している可能性がある。それにもかかわらず以上の結果が得られたことは,日本人の平均余命に対する喫煙の影響をあらためて示していると著者らは述べている。