[1999年文献] ウエスト/ヒップ比とBMIは,それぞれ耐糖能異常および糖尿病と有意かつ独立に関連する

日本人一般住民を対象としたコホート研究における断面解析により,BMIおよびウエスト/ヒップ比と,耐糖能異常との関連を検討した。その結果,ウエスト/ヒップ比およびBMIは,耐糖能異常および糖尿病と,それぞれ独立に関連することが明らかになった。

Sekikawa A, et al. Waist to hip ratio, body mass index, and glucose intolerance from Funagata population-based diabetes survey in Japan. Tohoku J Exp Med. 1999; 189: 11-20.pubmed

コホート
1990年に山形県舟形町地区,および1992年に同長沢地区でベースライン健診を受けた45歳以上の1961人のうち,脳血管疾患既往がある,もしくは追跡困難となるような障害のある195人,糖尿病既往のある93人,75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を完了しなかった265人を除いた1408人(男性599人,女性809人)。
75gOGTTの結果を用い,1985年のWHO診断基準により耐糖能異常,および糖尿病を診断した。

耐糖能により,全体を以下のようなカテゴリーに分けた。
   ・正常: 1112人(男性484人,女性628人)
   ・耐糖能異常: 219人(83人,136人)
   ・糖尿病: 77人(32人,45人)
結 果
男女とも,耐糖能異常および糖尿病の人は,正常の人よりも有意に高いBMIおよびウエスト/ヒップ比を示した。
糖尿病と耐糖能異常の間では,男性のBMIを除き,BMIとウエスト/ヒップ比の有意差はなかった。
カテゴリーごとのBMIおよびウエスト/ヒップ比は以下のとおり。左から正常,耐糖能異常,糖尿病の値(*P<0.01 vs. 正常,†P<0.05 vs. 耐糖能異常)。
   ・男性
    BMI(kg/m2): 23.2,24.2*,25.5*†
    ウエスト/ヒップ比: 0.89,0.92*,0.93*
   ・女性
    BMI(kg/m2): 23.7,25.3*,26.4*
    ウエスト/ヒップ比: 0.86,0.89*,0.90*

BMIについては全体を五分位に分けて解析を行った(単位はkg/m2)。
男性の第1五分位数は21.0,第2五分位数は22.6,第3五分位数は24.0,第4五分位数は25.9。
女性の第1五分位数は21.3,第2五分位数は23.4,第3五分位数は24.8,第4五分位数は26.9。
男女ともに,BMIが高くなるほど有病率が高くなる傾向がみられ,BMIがもっとも高い群で糖尿病の有病率が10%以上と,もっとも高くなった。

ウエスト/ヒップ比についても全体を五分位に分けて解析を行った。
男性の第1五分位数は0.85,第2五分位数は0.88,第3五分位数は0.91,第4五分位数は0.94。
女性の第1五分位数は0.79,第2五分位数は0.83,第3五分位数は0.88,第4五分位数は0.94。
男女ともに,ウエスト/ヒップ比が高くなるほど糖尿病有病率が高くなる傾向が見られ,男性ではウエスト/ヒップ比がもっとも高い群,女性ではもっとも高い群およびその次に高い群において,糖尿病の有病率が10%以上だった。

BMIおよびウエスト/ヒップ比の影響を独立に評価するために多変量ロジスティック回帰分析を行った結果,男性のBMIと耐糖能異常を除き,BMI,ウエスト/ヒップ比のどちらも耐糖能異常および糖尿病と有意に関連していた。
BMIが1 kg/m2増加,ウエスト/ヒップ比が0.1増加した場合の耐糖能異常および糖尿病のオッズ比は,以下のとおり(それぞれ耐糖能異常,糖尿病のオッズ比,*P<0.01)。
   ・男性
    BMI: 1.06 (95%信頼区間0.97-1.16), 1.22* (1.05-1.41)
    ウエスト/ヒップ比: 2.14* (1.33-3.45), 2.53* (1.47-6.18)
   ・女性
    BMI: 1.11* (1.05-1.18), 1.17* (1.07-1.29)
    ウエスト/ヒップ比: 1.35* (1.06-1.73), 1.57* (1.05-2.34)

◇ 結論
日本人一般住民を対象としたコホート研究における断面解析により,BMIおよびウエスト/ヒップ比と,耐糖能異常との関連を検討した。その結果,ウエスト/ヒップ比およびBMIは,耐糖能異常および糖尿病と,それぞれ独立に関連することが明らかになった。


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