[2005年文献] BMIと心血管疾患死亡リスクはU字型に相関
中高年の日本人一般住民を対象とした大規模前向きコホート研究において,BMIと心血管疾患,全脳卒中および各病型,冠動脈疾患による死亡リスクとの関連を検討した。9.9年間の追跡の結果,日本人ではBMI高値が冠動脈疾患死亡のリスクとなり,BMI低値が脳出血死亡のリスクとなることが示唆された。
Cui R, et al.; JACC Study Group. Body mass index and mortality from cardiovascular disease among Japanese men and women: the JACC study. Stroke. 2005; 36: 1377-82.
- コホート
- 国内45地区に居住し,1988~1990年のベースライン調査に参加した40~79歳の110792例のうち,脳卒中,冠動脈疾患または癌の既往がある5864例を除いた104928例(男性43889例,女性61039例)を平均9.9年間追跡。
このうち27.6%について,血液検査により血中コレステロール値を得た。
平均BMI(kg/m2)は,男性22.6,女性22.9。
BMI値により,全体を以下の6つのカテゴリーに分けて解析を行った。
18.5未満: 10.4%
18.5-20.9: 22.2%
21.0-22.9: 27.1%
23.0-24.9: 22.9%
25.0-26.9: 11.4%
27.0以上: 6.0% - 結 果
- BMIと有意な相関を示したのは,高血圧,糖尿病歴,大卒以上の学歴(男性のみ)。
BMIと有意な逆相関を示したのは,年齢,喫煙率,30分以上の歩行運動,睡眠時間(男性のみ),大卒以上の学歴(女性のみ),精神的高ストレス(女性のみ)。
男女とも,BMIは総コレステロールと有意に相関した。
追跡期間中に心血管疾患により死亡したのは,男性1707例,女性1432例。死因は以下のとおり(それぞれ男性,女性)。
・脳卒中: 765例, 685例
脳梗塞: 300例, 240例
脳出血: 191例, 145例
・冠動脈疾患: 397例, 256例
BMIは,全心血管死亡リスクとU字型の相関を示した。
BMIカテゴリーごとの全心血管疾患死亡の相対危険度(年齢補正後)は以下のとおり(それぞれ男性,女性)。
18.5未満: 1.63, 1.79
18.5-20.9: 1.19, 1.08
21.0-22.9: 1.04, 0.99
23.0-24.9: 1.00, 1.00
25.0-26.9: 1.23, 1.00
27.0以上: 1.27, 1.35
BMI 27以上の男性では,冠動脈疾患のリスクが有意に増加した(相対危険度2.05,95%信頼区間1.35-3.13)。
男女とも,BMI 18.5未満の例では全脳卒中死亡,および脳出血死亡のリスクが有意に増加した。脳出血死亡の相対危険度は男性で1.96,女性で2.32。
BMI 18.5未満の女性では,さらに脳梗塞死亡,および冠動脈疾患死亡のリスクも有意に増加した。
◇ 結論
中高年の日本人一般住民を対象とした大規模前向きコホート研究において,BMIと心血管疾患,全脳卒中および各病型,冠動脈疾患による死亡リスクとの関連を検討した。9.9年間の追跡の結果,日本人ではBMI高値が冠動脈疾患死亡のリスクとなり,BMI低値が脳出血死亡のリスクとなることが示唆された。