Iso H, et al.; JPHC Study Group. Alcohol consumption and risk of stroke among middle-aged men: the JPHC Study Cohort I. Stroke. 2004; 35: 1124-9.

コホート

1990年1月1日時点で対象4保健所の管轄下14行政区内に居住していた40～59歳の男性27063例のうち，心筋梗塞，狭心症，脳卒中または癌の既往がなく，かつアンケートによる調査結果および飲酒についてのデータが得られた19544例を11年間追跡（1990～2001年，214504人・年）。女性については，飲酒例が少ないため除外。
地域ごとの参加者数は以下のとおり。
　　　・岩手県二戸保健所: 6022例
　　　・秋田県横手保健所: 7559例
　　　・長野県佐久保健所: 6173例
　　　・沖縄県石川保健所: 7309例
飲酒習慣については，非飲酒例，ときどき飲酒する例，および飲酒例4段階（1週間のエタノール摂取量1-149g，150-299g，300-449g，450g以上）の計6段階に分類した。

結　果

脳卒中を発症したのは694例で，うち611例は画像診断もしくは剖検による確定診断。
病型の内訳は以下のとおり。
　　　・脳梗塞　319例
　　　　　　（ラクナ梗塞141例，アテローム血栓性脳梗塞54例，脳塞栓85例，病型不明39例）
　　　・脳出血　219例
　　　・くも膜下出血　73例
　　　
飲酒量は，全脳卒中発症リスクと有意に相関した（P＜0.001）。
少～中量飲酒例では，ときどき飲酒する例に比べて出血性脳卒中のリスクが上がったが，虚血性脳卒中のリスクは低下した。高血圧を含む他の因子補正後の相対危険度（vs. ときどき飲酒する例）は以下のとおり。
　　　・出血性脳卒中　　週1-149g: 1.73，週150-199g: 2.30
　　　・虚血性脳卒中　　週1-149g: 0.59，週150-199g: 0.92
週450g以上の飲酒例では，全脳卒中の有意なリスク上昇が見られた。このリスク上昇は出血性脳卒中，特に脳出血で顕著だった。