[2010年文献] 禁煙の予測因子は,年齢,職業,喫煙本数,身体活動,健診受診,健康状態

大規模コホート研究において,禁煙率および禁煙の予測因子を評価した日本ではじめての研究。ベースライン時の喫煙者の追跡10年後における禁煙率は25%であり,禁煙成功の有意な予測因子となったのは年齢が高いこと,ホワイトカラー,喫煙開始年齢が高いこと,前年に健診を受診していること,処方薬の服用開始,疾患の発症であり,禁煙失敗の有意な予測因子は喫煙本数≧20本/日,身体活動をほとんどしていないことであった。

Honjo K, et al.; JPHC Study Group. Smoking cessation: predictive factors among middle-aged Japanese. Nicotine Tob Res. 2010; 12: 1050-4.pubmed

コホート
JPHCコホートI。
対象4保健所の管轄下14行政区内に居住していた40~59歳の54498人のうち,1990年のベースライン時の質問票で「喫煙者である」と回答した9887人を10年間追跡。
2000年に質問票による追跡調査を実施し,喫煙状況(喫煙中,禁煙,非喫煙)に回答しなかった363人を除いた9524人を解析。

ベースライン時の質問票にて,年齢,性別,教育レベル,職業,婚姻区分,喫煙本数/日,喫煙開始年齢,職場での受動喫煙の頻度,ストレスの程度,余暇の身体活動,飲酒頻度,前年の健診受診状況を調査し,またBMIを算出した。新規薬剤処方薬の服用開始の有無については,ベースライン時および10年後に調査。疾患(心血管疾患以外も含める)の発症については10年後に調査した。
結 果
ベースライン時の喫煙者において,10年後に禁煙していたのは男性24%,女性33%であった。

◇ 禁煙の予測因子
ロジスティック回帰分析を行った結果,禁煙との有意な関連が示された因子は以下のとおり(多変量調整オッズ比[95%信頼区間])。

・年齢
 40~49歳: 1(対照),50~59歳: 1.58(1.43-1.75)
・職業
 ブルーカラー: 1,ホワイトカラー: 1.18(1.05-1.32)
・喫煙本数/日
 1~19本: 1,20~29本: 0.54(0.48-0.61),30本以上: 0.48(0.41-0.55)
・喫煙を開始した年齢
 <20歳: 1,20~24歳: 1.23(1.08-1.41),≧25歳: 1.62(1.38-1.91)
・身体活動の頻度
 1週間に1回以上: 1,身体活動はほとんどなし: 0.87(0.76-1.00)
・前年の健診受診状況
 非受診: 1,受診: 1.21(1.06-1.37)
・処方薬の服用開始
 なし: 1,あり: 1.92(1.72-2.14)
・疾患の発症
 なし: 1,あり: 1.21(1.08-1.36)


◇ 結論
大規模コホート研究において,禁煙率および禁煙の予測因子を評価した日本ではじめての研究。ベースライン時の喫煙者の追跡10年後における禁煙率は25%であり,禁煙成功の有意な予測因子となったのは年齢が高いこと,ホワイトカラー,喫煙開始年齢が高いこと,前年に健診を受診していること,処方薬の服用開始,疾患の発症であり,禁煙失敗の有意な予測因子は喫煙本数≧20本/日,身体活動をほとんどしていないことであった。


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