[2004年文献] 野菜や果物をより多く摂取しようとしている人では,尿中カリウム排泄量が多い
日本の事業所勤務者を対象とした断面解析により,野菜や果物をより多く摂取しようと考えているかどうかという生活習慣改善に対する意思と,尿中カリウム排泄量との関連を検討した。その結果,男女とも,野菜や果物をより多く摂取しようと考えているかどうかの違いにより,尿中カリウム排泄が有意に異なることがわかった。この結果は,食事に関する介入を行うにあたっての段階別モデルの妥当性を裏付けるものである。
Tamaki J, et al.; High-Risk and Population Strategy for Occupational Health Promotion research group. Applicability of the stages of change model for analyzing fruit and vegetable intake in relation to urinary potassium excretion: baseline results from the High-Risk and Population Strategy for Occupational Health Promotion (HIPOP-OHP) Study. Hypertens Res. 2004; 27: 843-50.
- コホート
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国内の12の事業所のいずれかに勤務し,1999~2000年にベースライン健診を受けた7226人のうち,データの不備や不足がなかった19~69歳の6774人(男性5364人,女性1410人,断面解析)。
平均年齢は38.6歳。
野菜や果物の摂取状況は,自己記入式質問票により調査した。摂取頻度が週に6回以下であると答えた場合は,野菜や果物の摂取を増やす意思があるかどうかをたずね,摂取頻度が週に7回以上と答えた場合は,そうした生活をどのくらい続けているかをたずねた。
その結果より,対象者を以下の5段階に分類した。
関心なし: 少なくとも6か月以内に生活習慣を改善しようとは思っていない人
考え中: 6か月以内に生活習慣を改善しようと思っている人
準備: 1か月以内に生活習慣を改善しようと思っている人
実行: すでに生活習慣を改善しているが,その期間が6か月未満の人
維持: すでに生活習慣を改善しており,その期間が6か月以上の人
また,尿検査により尿中ナトリウム排泄および尿中カリウム排泄を調べた。 - 結果
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高血圧(140 / 90 mmHg以上)は13.0 %の人に見られた。降圧薬服用率は3.1 %。
肥満(BMI 25 kg/m2以上)は20.5 %の人に見られた(男性22.6 %,女性12.8 %)。
生活習慣の改善の意思に関する段階別の比率は以下のとおりで,「維持」段階にあると自己申告した人がもっとも多く,全体の49.2 %を占めた。
関心なし: 28.3 %
考え中: 4.3 %
準備: 14.9 %
実行: 3.3 %
維持: 49.2 %
40歳以上の「準備」段階の男性の収縮期血圧および拡張期血圧は,「実行/維持」の人よりも有意に高かった(P<0.05)。
「実行/維持」段階の男性の尿中カリウム排泄は,他の群よりも有意に高かった(P<0.05)。
「実行/維持」段階の男性の喫煙率は,他の群よりも有意に低かった(P<0.05)。
女性では,各群間で尿中カリウム排泄に有意差が見られた(P<0.05)が,年齢,BMI,血圧,尿中ナトリウム排泄では有意差はなかった。
多重回帰分析によると,男性の「関心なし/考え中」段階の人を基準としたとき,「準備」および「実行/維持」段階の男性の尿中カリウム排泄は有意に高い値を示した(それぞれ+1.65 mmol/日,+1.44 mmol/日,P<0.05)。
女性においても,「関心なし/考え中」段階の人を基準としたときの「実行/維持」段階の人の尿中カリウム排泄は,+1.26 mmol/日と有意に高い値を示した(P<0.05)。
◇ 結論
日本の事業所勤務者を対象とした断面解析により,野菜や果物をより多く摂取しようと考えているかどうかという生活習慣改善に対する意思と,尿中カリウム排泄量との関連を検討した。その結果,男女とも,野菜や果物をより多く摂取しようと考えているかどうかの違いにより,尿中カリウム排泄が有意に異なることがわかった。この結果は,食事に関する介入を行うにあたっての段階別モデルの妥当性を裏付けるものである。