[2008年文献] 女性の睡眠呼吸障害は,高血圧および昼間の眠気と有意に関連した
睡眠呼吸障害と昼間の過度の眠気および高血圧との関連を検討するために,男性よりも睡眠呼吸障害および高血圧の頻度が低いとされる女性を対象とした断面解析を行った。その結果,日本人女性において,睡眠呼吸障害の度合いは,昼間の過度の眠気および高血圧と有意に関連していることが示された。
Cui R, et al. Associations of sleep-disordered breathing with excessive daytime sleepiness and blood pressure in Japanese women. Hypertens Res. 2008; 31: 501-6.
- コホート
- 2001~2005年に循環器健診および睡眠に関する調査に参加した30~69歳の女性3626人(八尾市1438人,井川町609人,協和地区1579人)のうち,脳卒中または冠動脈疾患既往のある58人を除いた3568人(断面解析)。
平均年齢は54.0歳,平均BMIは23.3 kg/m2。
面接により,いびき,無呼吸,昼間の過度の眠気(excessive daytime sleepiness: EDS),朝の眠気についての回答を得た。
また,手首にパルスオキシメーターを装着して,自宅で一晩,就寝中の動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定。就寝中にSpO2の顕著な低下(3 %以上)がみられた回数を酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index: ODI)とした。
ODI≧5の場合に睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing: SDB)と診断した。
高血圧の定義は,140 / 90 mmHg以上または降圧薬服用とした。 - 結 果
- 酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index: ODI)≧5は全体の20.2 %,ODI≧10は6.4 %,ODI≧15は2.8 %だった。
睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing: SDB)の割合にはコホート間で違いがみられ,八尾市では23.4 %,井川町では19.9 %,協和地区では18.1 %だった。
◇ SDBと昼間の過度の眠気,および高血圧のリスク
ODIは,降圧薬服用,平均動脈血酸素飽和度(SpO2),収縮期血圧,高血圧,昼間の過度の眠気,習慣的ないびき,睡眠時無呼吸とそれぞれ有意かつ独立した相関を示した。
高血圧,および昼間の過度の眠気のオッズ比(多変量調整)は以下のとおり。
・ 高血圧
ODI<5: 1.0 (対照)
ODI 5~9: 1.1 (95 %信頼区間: 0.9-1.4)
ODI 10~14: 1.2 (0.8-1.8)
ODI≧15: 2.2 (1.4-3.4,P<0.001)
・ 昼間の過度の眠気
ODI<5: 1.0 (対照)
ODI 5~9: 1.9 (95 %信頼区間: 1.2-3.0,P<0.01)
ODI 10~14: 2.2 (1.0-4.6,P<0.05)
ODI≧15: 1.8 (0.7-4.4)
◇ 結論
睡眠呼吸障害と昼間の過度の眠気および高血圧との関連を検討するために,男性よりも睡眠呼吸障害および高血圧の頻度が低いとされる女性を対象とした断面解析を行った。その結果,日本人女性において,睡眠呼吸障害の度合いは,昼間の過度の眠気および高血圧と有意に関連していることが示された。