[2001年文献] CRP値は動脈硬化の各危険因子と関連
日本人一般住民においてCRP値と動脈硬化の各危険因子との相関がみとめられた。この結果は欧米の観察研究の結果と一致していた。しかし,日本人のCRP値は他の先進国に比べてかなり低く,CRP値の分布も顕著に異なっていた。このことが,日本人における冠動脈疾患の発症率の低さと関連している可能性がある。
Yamada S, et al. Distribution of serum C-reactive protein and its association with atherosclerotic risk factors in a Japanese population : Jichi Medical School Cohort Study. Am J Epidemiol. 2001; 153: 1183-90.
- コホート
- JMSコホート研究の9コホート(大和,高鷲,和良,佐久間,北淡,作木,大川,相島,赤池)。
ベースライン時に心血管疾患による治療を受けていない30歳以上の健診受診者6759人のうち,脳卒中または心筋梗塞の既往がある人およびデータに不備のある人を除いた6107人(男性2275人,女性3832人)における断面解析。
調査回答率は52.4 %。 - 結 果
- 平均CRP値は,男性0.83 mg/L,女性0.59 mg/L(P<0.001)で,男女とも加齢にしたがって増加傾向を示した。
CRP値の分布は,低値側に大きく偏っていた。
第1,第2,第3四分位数はそれぞれ0.03 mg/L,0.12 mg/L,0.30 mg/L。
分布の形は,性別,年齢,コホート間で同様だった。
ロジスティック回帰分析によると,CRP値と有意な正の相関を示したのは性別(男性),年齢,収縮期血圧,トリグリセリド,血中フィブリノーゲン,BMI,喫煙の有無で,有意な負の相関を示したのはHDL-C。
ウエスト/ヒップ比および血中インスリンを解析に含めると,性別(男性),HDL-C,トリグリセリドとの相関は消失した。
以上のように,日本人一般住民においてCRP値と動脈硬化の各危険因子との相関がみとめられた。この結果は欧米の観察研究の結果と一致していた。しかし,日本人のCRP値は他の先進国に比べてかなり低く,CRP値の分布も顕著に異なっていた。このことが,日本人における冠動脈疾患の発症率の低さと関連している可能性がある。