[2004年文献] 寝不足,寝過ぎで死亡リスクが増加
睡眠時間が1日6時間未満の男性,および1日9時間以上の女性では,7.0~7.9時間の人に比べて全死亡リスクが高いことがわかった。
Amagai Y, et al. Sleep duration and mortality in Japan: the Jichi Medical School Cohort Study. J Epidemiol. 2004; 14: 124-8.
- コホート
- JMSコホート研究の12コホート(岩泉,多古,大和,久瀬,高鷲,和良,佐久間,北淡,作木,大川,相島,赤池)。
1992年4月~1995年7月にベースライン健診を受けた19~93歳の12490人のうち,心筋梗塞,脳卒中,癌のいずれの既往もなく,睡眠に関するデータの不備がなかった11325人(男性4419人,女性6906人)を平均8.2年間追跡(93424人・年)。
平均年齢は,男性55.0歳,女性55.2歳。
面接により,対象者に通常の就寝時刻および起床時刻をたずね,算出した1日の睡眠時間により,以下のカテゴリーに分けて検討を行った。
6.0時間未満,6.0~6.9時間,7.0~7.9時間,8.0~8.9時間,9.0時間以上 - 結 果
- 2001年12月31日までに死亡した人は495人(4.3 %)で,うち男性は289人(6.5 %),女性は206人(3.0 %)だった。
平均睡眠時間は,男性7.8時間,女性7.4時間(P<0.001)。
各睡眠時間の割合は以下のとおり。
6.0時間未満: 男性3 %,女性4 %
6.0~6.9時間: 11 %,16 %
7.0~7.9時間: 29 %,37 %
8.0~8.9時間: 37 %,32 %
9.0時間以上: 20 %,12 %
睡眠時間が長い人ほど,年齢,収縮期血圧,拡張期血圧が高い傾向があった。
睡眠時間カテゴリーごとの全死亡のハザード比(95 %信頼区間)は以下のとおり(年齢,収縮期血圧,総コレステロール,BMI,喫煙,飲酒,教育年数,配偶者の有無で調整,*有意差あり)。
6.0時間未満: 男性2.4*(1.3-4.2),女性0.7(0.2-2.3)
6.0~6.9時間: 1.1(0.7-1.8),1.3(0.8-2.1)
7.0~7.9時間: 1.0,1.0(対照)
8.0~8.9時間: 0.9(0.6-1.2),1.1(0.8-1.6)
9.0時間以上: 1.1(0.8-1.6),1.5*(1.0-2.4)
死因別の検討を行った結果は以下のようになった(対照: 7.0~7.9時間)。
・ 心疾患死亡: 6.0時間未満の男性,6.0~6.9時間の男性,9.0時間以上の女性でリスクが有意に上昇。
・ 脳卒中死亡: 8.0~8.9時間の男性でリスクが有意に低下し,6.0~6.9時間の女性でリスクが有意に上昇。
・ 癌死亡: 6.0時間未満の男性でリスクが有意に上昇。
・ 外的要因による死亡: 6.0時間未満の男性でリスクが有意に上昇。
以上のように,睡眠時間が1日6時間未満の男性,および1日9時間以上の女性では,7.0~7.9時間の人に比べて全死亡リスクが高いことがわかった。