[2005年文献] 喫煙本数が多いほど死亡リスクが増加
男性で喫煙による死亡リスクの上昇がみとめられた。また,この関連は用量依存的であった。プライマリーケアにおいて,積極的な禁煙支援を行う必要性が示唆される。
Uno F, et al. Smoking and risk of all-cause mortality: the Jichi Medical School (JMS) Cohort Study. J Epidemiol. 2005; 15: 173-9.
- コホート
- JMSコホート研究の12コホート(岩泉,多古,大和,久瀬,高鷲,和良,佐久間,北淡,作木,大川,相島,赤池)。
1992~1995年にベースライン健診を受けた12490人のうち,心筋梗塞,脳卒中,癌のいずれかの既往がある664人,喫煙に関するデータに不備があった953人を除いた18~90歳の10873人(男性4280人,女性6593人)を平均8.2年間追跡。
ベースライン健診時の質問票により対象者の喫煙状態を調査し,全体を喫煙,禁煙,喫煙未経験のカテゴリーに分けた。
男性の喫煙者について,さらに喫煙本数により3カテゴリー(1~14本/日,15~24本/日,25本以上/日)に分けた検討を行ったが,女性については喫煙者の人数が少ないため検討を行わなかった。 - 結 果
- 2001年12月31日までに死亡した人は476人(男性284人,女性192人)。
喫煙カテゴリーごとの人数および粗死亡率(1000人・年あたり)は以下のとおり。
・ 男性
喫煙未経験(910人): 5.8
禁煙(1181人): 7.8
喫煙(2189人): 9.2
1~14本(379人): 12.5
15~24本(1183人): 9.4
25本以上(612人): 6.6
・ 女性
喫煙未経験(6036人): 3.6
禁煙(184人): 3.3
喫煙(373人): 2.9
喫煙カテゴリーごとの全死亡ハザード比(95 %信頼区間)は以下のとおり(年齢,収縮期血圧,総コレステロール,BMI,飲酒,教育年数により調整)。
・ 男性
喫煙未経験: 1.00(対照)
禁煙: 1.09(0.73-1.61)
喫煙: 1.65(1.16-2.35)
1~14本: 1.62(1.03-2.56)
15~24本: 1.57(1.07-2.30)
25本以上: 1.89(1.17-3.07)
・ 女性
喫煙未経験: 1.00(対照)
禁煙: 0.98(0.40-2.42)
喫煙: 0.91(0.42-1.95)
男性の喫煙者では,喫煙本数と死亡リスクの用量依存的な関連がみられた(P<0.001)。
男性において,死亡に関する喫煙(禁煙を含む)の人口寄与割合(population attributable fraction: PAF)は24.9 %だった。
以上のように,男性で喫煙による死亡リスクの上昇がみとめられた。また,この関連は用量依存的であった。プライマリーケアにおいて,積極的な禁煙支援を行う必要性が示唆される。