[2006年文献] 閉経時年齢が40歳未満の人では死亡リスクが増加
閉経時年齢と全死亡リスクとの間の負の関連はみとめられなかったが,閉経時年齢が40歳未満の人では,閉経時年齢45~49歳の人に比べて有意な死亡リスクの上昇がみられた。とくに早期に閉経した女性に対し,こまめな健康状態チェックの必要性が示唆される。
Amagai Y, et al. Age at menopause and mortality in Japan: the Jichi Medical School Cohort Study. J Epidemiol. 2006; 16: 161-6.
- コホート
- JMSコホート研究の12コホート(岩泉,多古,大和,久瀬,高鷲,和良,佐久間,北淡,作木,大川,相島,赤池)。
1992~1995年にベースライン健診を受け,閉経時年齢が明らかな女性4848人から,心筋梗塞既往のある24人,脳卒中既往のある47人,癌の既往のある87人を除いた36~89歳の4683人を平均9.2年間追跡(43152人・年)。
ベースライン時の平均年齢は61.0歳。
質問票により閉経時年齢および閉経の種類(自然閉経,人工閉経)の調査を行い,全体を以下のカテゴリーに分けて検討を行った。
40歳未満,40~44歳,45~49歳,50~54歳,55歳以上 - 結 果
- 閉経時年齢の平均は48.3歳で,閉経時45~54歳だった女性が80 %を占めた。
2002年12月31日までに死亡した人は215人(4.6 %)。
うち,癌による死亡が93人,心疾患による死亡が29人,脳卒中による死亡が29人,その他の死因による死亡が64人。
各カテゴリーの人数および粗死亡率(1000人・年あたり)は以下のとおりで,閉経時年齢が40歳未満の人における粗死亡率がもっとも高かった。
40歳未満(227人): 6.8
40~44歳(467人): 3.5
45~49歳(1629人): 5.2
50~54歳(2124人): 4.9
55歳以上(236人): 5.5
各カテゴリーの死亡のハザード比(95 %信頼区間)は以下のとおりで,閉経時40歳未満の人における有意なリスク上昇がみとめられた(年齢,収縮期血圧,総コレステロール,HDL-C,糖尿病既往,BMI,喫煙,飲酒,配偶者の有無,コホート,自然閉経/人工閉経により調整)。
40歳未満: 2.10 (1.07-4.11)
40~44歳: 0.68 (0.36-1.26)
45~49歳: 1.00 (対照)
50~54歳: 0.94 (0.68-1.30)
55歳以上: 1.17 (0.63-2.20)
この結果は,人工閉経の人,およびベースラインから2年以内に死亡した人を除いて解析を行っても同様となった。
以上のように,日本人一般住民において,閉経時年齢と全死亡リスクとの間の負の関連はみとめられなかったが,閉経時年齢が40歳未満の人では,閉経時年齢45~49歳の人に比べて有意な死亡リスクの上昇がみられた。とくに早期に閉経した女性に対し,こまめな健康状態チェックの必要性が示唆される。