[2000年文献] 頸動脈の内径および外径は,主要な心血管危険因子と有意に関連する
超音波により測定した頸動脈径が心血管危険因子と関連しているかどうか検討するため,都市部の一般住民における断面解析を行った。その結果,総頸動脈の内径および外径は,いずれも主要な心血管危険因子(収縮期血圧,頸動脈IMT,BMI,年齢,喫煙)と有意に関連していることが示された。
Mannami T, et al. Potential of carotid enlargement as a useful indicator affected by high blood pressure in a large general population of a Japanese city: the Suita study. Stroke. 2000; 31: 2958-65.
- コホート
- 吹田市民から無作為に抽出され,1994年4月~2000年2月にかけて定期健診(隔年)のいずれかを受診し,超音波検査を1回受けた30~89歳の男性2284人および女性2568人(断面解析)。
Bモード超音波により,頸動脈内膜-中膜肥厚度(IMT: intima-media thickness),最大IMT(スキャンした範囲内の最大値),総頸動脈の内径および外径を評価。
高血圧の定義は,収縮期血圧≧140 mmHg,拡張期血圧≧90 mmHgまたは降圧薬服用とした。 - 結 果
- ◇ 総頸動脈内径,外径,内膜-中膜肥厚度(IMT: intima-media thickness),最大IMT
総頸動脈の内径,外径,IMT,最大IMTは,男女ともに年齢層が高くなるほど増加する傾向を示した。
また,総頸動脈の内径,外径,IMT,最大IMTは,いずれもすべての年齢層において男性のほうが女性よりも有意に高かった(P<0.05,ただし75~89歳の年齢層における最大IMTを除く)。
◇ 頸動脈径に関連している因子
・ 男性
重回帰分析(多変量調整)によると,総頸動脈の内径および外径とそれぞれ有意かつ独立に関連していたのは,年齢,BMI,収縮期血圧,喫煙量(箱・年),飲酒量(1日あたり),IMT(すべてP<0.0001~<0.005)。総コレステロールは,総頸動脈の内径のみと有意な関連を示した(P<0.0001)。
・ 女性
重回帰分析(多変量調整)によると,総頸動脈の内径および外径とそれぞれ有意かつ独立に関連していたのは,年齢,BMI,収縮期血圧,喫煙量(箱・年),IMT(すべてP<0.0001~P<0.005)。総コレステロールおよび飲酒量(1日あたり)は,総頸動脈の内径のみと有意な関連を示した(それぞれP<0.005,P<0.05)。
総頸動脈の内径ともっとも強く関連していたのは収縮期血圧で,外径ともっとも強く関連していたのはIMT。
◇ 結論
超音波により測定した頸動脈径が心血管危険因子と関連しているかどうか検討するため,都市部の一般住民における断面解析を行った。その結果,総頸動脈の内径および外径は,いずれも主要な心血管危険因子(収縮期血圧,頸動脈IMT,BMI,年齢,喫煙)と有意に関連していることが示された。