[2006年文献] 高血圧と糖尿病の両方をもつ人では,どちらか一方の人よりも長期的な医療費が高くなる
国民健康保険に加入している一般住民を対象とした前向きコホート研究において,高血圧,糖尿病,およびその両方をもつ場合の,長期的な医療費への影響を検討した。平均9.2年間の追跡の結果,高血圧と糖尿病のいずれもない人に比した個人の医療費は,高血圧のみ<糖尿病のみ<高血圧と糖尿病の両方をもつ人,の順で高額になっていた。
Nakamura K, et al.; Health Promotion Research Committee of the Shiga National Health Insurance Organizations. Medical costs of patients with hypertension and/or diabetes: A 10-year follow-up study of National Health Insurance in Shiga, Japan. J Hypertens. 2006; 24: 2305-9.
- コホート
- 滋賀国保コホート研究。
1989~1991年に健診を受診した40~69歳の国民健康保険加入者4535人を,2001年まで平均9.2年間追跡(41536人・年)。
高血圧および糖尿病(健診時の問診による)の有無によって,対象者を「いずれもなし」「高血圧のみ」「糖尿病のみ」「高血圧+糖尿病」の4つのカテゴリーのいずれかに分類した。 - 結 果
- ◇ 対象背景
「高血圧+糖尿病」は1.3%(男性1.7%,女性1.1%),「高血圧のみ」は34.8%,「糖尿病のみ」は1.7%であった。
「高血圧+糖尿病」の人は,4つのカテゴリーのなかでもっとも年齢,BMIおよび総コレステロール(男性のみ)が高かった。
◇ 高血圧,糖尿病,およびその組合せと個人の医療費
高血圧および糖尿病の有無別の,個人の医療費(加入1か月あたり,幾何平均値),および全死亡の多変量調整ハザード比(年齢,性,BMI,喫煙,飲酒および総コレステロールで調整)は以下のとおりで,「高血圧+糖尿病」の人では医療費が有意に高額となった(*P<0.05)。
いずれもなし(2818人): 7473円,1.00(対照)
高血圧のみ(1579人): 10067円,1.15(95%信頼区間0.86-1.55)
糖尿病のみ(77人): 14545円,1.16(0.51-2.65)
高血圧+糖尿病(61人): 19111円*,2.37(1.19-4.74)
◇ 結論
国民健康保険に加入している一般住民を対象とした前向きコホート研究において,高血圧,糖尿病,およびその両方をもつ場合の,長期的な医療費への影響を検討した。平均9.2年間の追跡の結果,高血圧と糖尿病のいずれもない人に比した個人の医療費は,高血圧のみ<糖尿病のみ<高血圧と糖尿病の両方をもつ人,の順で高額になっていた。