[2008年文献] 糖尿病有病者の医療費は,非有病者の約2倍

国民健康保険に加入している一般住民を対象とした前向きコホート研究において,糖尿病が長期的な医療費に及ぼす影響を検討した。2001年まで10年間追跡した結果,糖尿病有病者の医療費は,非有病者にくらべて約2倍と高額になっていた。

Nakamura K, et al.; Health Promotion Research Committee Of The Shiga National Health Insurance Organizations. Medical expenditure for diabetic patients: a 10-year follow-up study of National Health Insurance in Shiga, Japan. Public Health. 2008; 122: 1226-8.pubmed

コホート
滋賀国保コホート研究。
1989~1991年に健診を受診した40~69歳の国民健康保険加入者4535人を,2001年まで10年間追跡。

糖尿病の有無は,健診時の問診によって確認した。
結 果
◇ 対象背景
年齢54.3歳,女性57%。
糖尿病の割合は3%(男性4%,女性2%)であった。

◇ 糖尿病と個人の医療費
糖尿病の有無ごとの,個人の医療費(加入1か月あたり,多変量調整後の幾何平均値)は以下のとおりで,糖尿病の人では医療費が非糖尿病の人の約2倍となっていた。
年齢,性,BMI,喫煙,飲酒,収縮期血圧,降圧薬服用および総コレステロールで調整)

  非糖尿病(4397人): 8325円
  糖尿病(138人): 15788円(P<0.01 vs. 非糖尿病)

この結果は,医療費を外来医療費と入院医療費に分けた解析でも同様であった。

◇ 糖尿病と全死亡リスク
非糖尿病の人に対する糖尿病の人の全死亡の調整ハザード比は,1.45(95%信頼区間0.86-2.47)であった。


◇ 結論
国民健康保険に加入している一般住民を対象とした前向きコホート研究において,糖尿病が長期的な医療費に及ぼす影響を検討した。2001年まで10年間追跡した結果,糖尿病有病者の医療費は,非有病者にくらべて約2倍と高額になっていた。


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