[1977年文献] CHDリスクに対する危険因子の効きかたは,日本とハワイで同程度
CHDの独立した危険因子はSBP,総コレステロール,相対体重,および年齢であったが,CHDリスクに対する年齢,SBP,総コレステロールの寄与度はいずれも日本とハワイとで同程度だった。
Robertson TL, et al. Epidemiologic studies of coronary heart disease and stroke in Japanese men living in Japan, Hawaii and California. Coronary heart disease risk factors in Japan and Hawaii. Am J Cardiol. 1977; 39: 244-9.
- コホート
- ・ 日本コホート: 日本の広島および長崎の45~68歳の日本人男性のうち,心筋梗塞既往またはその疑いのある人を除いた1963人を最大6年間追跡。
・ ホノルルコホート: 米国ハワイ州のオアフ島に住む45~68歳の日系人男性のうち,心筋梗塞既往またはその疑いのある人を除いた7705人を2年間追跡。
それぞれのコホートの死因の調査には,死亡診断書,剖検データ,新聞の死亡広告,既往歴などが用いられた。
心筋梗塞発症率の調査には,健診で実施された心電図データが用いられた。
なお,日本コホートは参加数が少ないため,6年間を2年間×3回ととらえ,人・年の調整を行ったうえでホノルルコホート(追跡2年間)と比較した。 - 結 果
- 冠動脈疾患(CHD)を発症したのは,日本16人,ハワイ47人。
CHD発症者で,未発症者に比べて高い値を示したのは,体重,相対体重,肩甲骨下部の皮下脂肪厚,総コレステロール,トリグリセリド,尿酸,収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP),脈圧。一方,ハワイのCHD発症者の平均摂取カロリーは,未発症者よりも有意に低かった。
CHD発症率と種々の因子との関連を検討した結果,ハワイと日本の両方でCHD発症率と有意な相関を示したのは,SBPと総コレステロール。喫煙本数については,ハワイでCHD発症率との有意な相関がみられた(P<0.01)が,日本では相関なし。
◇ CHDの独立した危険因子とその寄与度
重回帰分析によって他の因子で補正を行ったのちも両コホートでCHDと有意に関連していたのは,SBP,総コレステロール,相対体重,年齢。ハワイでは摂取カロリー/体重比もCHDと有意に相関していた。
また,多変量ロジスティック回帰により各因子のCHD発症リスクへの寄与度を日本とハワイとで比較した結果,喫煙については日本とハワイとで異なる傾向がみられた(P=0.07)が,年齢,SBP,および総コレステロールのCHD発症リスクへの寄与度は,いずれも日本とハワイとで同程度だった。
以上のように,CHDの独立した危険因子はSBP,総コレステロール,相対体重,および年齢であったが,CHDリスクに対する年齢,SBP,総コレステロールの寄与度はいずれも日本とハワイとで同程度だった。