Jacobs DR, et al. Cigarette smoking and mortality risk: twenty-five-year follow-up of the Seven Countries Study. Arch Intern Med. 1999; 159: 733-40.

コホート

観察期間は25年。
喫煙情報はSeven Countries Studyのために開発した標準化質問票を使用して収集。ベースライン時に，巻きたばこ喫煙，パイプ喫煙，葉巻喫煙，喫煙歴別に1日の喫煙量を調べ，非喫煙者，1～4本/日，5～9本/日，10～19本/日，20～29本/日，30本以上/日，禁煙してから1年未満，1～9年，10年に層別して解析した。
日本では喫煙歴のある対象に禁煙からの年数は問わず，全員1～9年前に禁煙したものとした。アメリカの葉巻，パイプ喫煙情報はなし。ごく最近禁煙したものは，数が少なく，再喫煙の可能性から解析に入れなかった。

結　果

・年齢調整後の全死亡率は最も低いのがBelgrade（セルビア共和国），クレタ島（ギリシャ）で約30％，最も高いのがSlavonia（クロアチア共和国），東フィンランド（フィンランド），Zrenjanin（セルビア共和国）の約60％。日本は田主丸コホートが約39％，牛深コホートが52％。

・冠動脈疾患（CHD）死のリスクは，南欧（イタリア，クロアチア共和国，セルビア共和国，ギリシャ），日本に比べ，北欧（フィンランド，オランダ），北米（アメリカ）が高かった。肺癌死も同様の傾向がみられた。
一方，脳卒中死は南欧，日本に比べ北欧，アメリカの方が少なかった。
肺癌以外の癌死は日本が最も多かった。

・全死亡，CHD死，肺癌死，その他の癌死，慢性閉塞肺疾患（COPD）死は非喫煙例に比し喫煙例で顕著に高かった。1日の喫煙量に依存したのは全死亡，肺癌死であった。
1日に30本以上の喫煙者（57.7％）は非喫煙者（36.3％）に比べ死亡リスクが21％上昇した。喫煙歴を有するものの全死亡，心疾患死，肺癌死，COPD死のリスクは喫煙量依存で，禁煙から10年以上経過していても非喫煙者に比べると全死亡リスクが高く，禁煙から間もないものは5～9本/日と同等であった。

・非喫煙者と比較したCHD死のハザード比（HR）は1年以上前に禁煙したものが1.1（95％信頼区間0.88～1.36），1～9本/日喫煙者は1.2（0.99～1.44），10本以上は1.8（1.61～2.11），20本/日喫煙ごとのHRは1.7（p＜0.001），その他の心疾患はそれぞれ0.8（0.38～1.58），1.1（0.67～1.91），1.1（0.78～1.65），1.2（p＝0.24），脳卒中は1.2（0.86～1.60），1.1（0.83～1.45），1.5（1.24～1.82），1.4（p＜0.001）。
観察開始から10年間の生存者10494人中，10年間で喫煙を始めたものは567人，1年以上禁煙したものは568人。