[2003年文献] 喫煙者の食生活は健康的ではない
各国の喫煙者の食生活には,非喫煙者にくらべて健康的ではない傾向がみられた。癌や心血管疾患のリスクを減らすためにも,喫煙者の食生活改善の指導が必要である。
Dyer AR, et al.; INTERMAP Research Group. Dietary intake in male and female smokers, ex-smokers, and never smokers: the INTERMAP study. J Hum Hypertens. 2003; 17: 641-54.
- コホート
- INTERMAP研究に参加した日本,中国,イギリスおよび米国(計4か国17集団)の40~59歳の4680人。
国・性別ごとに,参加者を喫煙者,禁煙者,喫煙未経験者に分けて検討を行った。
なお,日本女性の禁煙人は13人と少なかったため,喫煙未経験者に含めた。また,中国女性の喫煙者は423人中21人,禁煙者は4人といずれも非常に少なかったため,中国女性については検討を行わなかった。 - 結 果
- 教育年数は,喫煙未経験者,禁煙者,喫煙者の順に長い傾向がみられた(日本女性を除く)。
喫煙状況と各国の栄養素摂取の特徴は以下のとおり。
◇日本
喫煙者で喫煙未経験者よりも有意に高い値を示したのは,アルコールの摂取,食事由来のナトリウム/カリウム比,尿中ナトリウム排泄(女性のみ),尿中ナトリウム/カリウム比(女性のみ)。
一方,喫煙未経験者で喫煙者よりも有意に高い値を示したのは,総蛋白質(女性のみ),植物性蛋白質,飽和脂肪酸(女性のみ),炭水化物(男性のみ),繊維質,βカロテン,ビタミンC(男性のみ),カルシウム,鉄,リン,マグネシウム,カリウムの摂取,および尿素窒素(男性のみ),尿中カリウム排泄(男性のみ)。
◇中国(男性のみ)
喫煙者で喫煙未経験者よりも有意に高い値を示したのは,アルコールの摂取。
喫煙未経験者で喫煙者よりも有意に高い値を示したのは,炭水化物の摂取,尿中ナトリウム排泄。
◇イギリス
喫煙者で喫煙未経験者よりも有意に高い値を示したのは,動物性蛋白質(女性のみ),飽和脂肪酸(女性のみ),一価不飽和脂肪酸(女性のみ),コレステロール(女性のみ),アルコールの摂取,Keysスコア,食事由来のナトリウム/カリウム比(女性のみ),尿中ナトリウム/カリウム比(女性のみ)。
喫煙未経験者で喫煙者よりも有意に高い値を示したのは,植物性蛋白質,多価不飽和脂肪酸(男性のみ),n-6系不飽和脂肪酸(男性のみ),炭水化物,繊維質,βカロテン(女性のみ),ビタミンE,ビタミンC(女性のみ),鉄(女性のみ),リン(男性のみ),マグネシウム(女性のみ),カリウム(女性のみ)の摂取,不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比,尿中カリウム排泄(女性のみ)。
◇米国
喫煙者で喫煙未経験者よりも有意に高い値を示したのは,総摂取エネルギー(男性のみ),総脂肪(女性のみ),飽和脂肪酸,コレステロール(男性のみ),アルコールの摂取,およびKeysスコア,尿中ナトリウム/カリウム比(女性のみ)。
喫煙未経験者で喫煙者よりも有意に高い値を示したのは,植物性蛋白質,n-3系不飽和脂肪酸(男性のみ),炭水化物,繊維質,ビタミンA,βカロテン,レチノール,ビタミンE(男性のみ),ビタミンC,カルシウム,鉄,リン(男性のみ),マグネシウム(男性のみ),カリウム(男性のみ)の摂取,および不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比,尿素窒素,尿中カリウム排泄,尿中ナトリウム排泄(男性のみ)。
以上のように各国の喫煙者の食生活には,非喫煙者にくらべて健康的ではない傾向がみられた。癌や心血管疾患のリスクを減らすためにも,喫煙者の食生活改善の指導が必要である。