[2004年文献] より健康的な食生活の中国南部住民は,北部住民よりも血圧が有意に低かった
中国北部では南部よりも血圧が高いこと,およびその背景として南部のほうが健康的な食生活をしている傾向があることが示された。また,食生活と血圧との関連の中でも特に,BMIおよびナトリウム,カリウム,リン,マグネシウムなどの栄養素の摂取が関与している可能性が示唆された。
Zhao L, et al.; INTERMAP Research Group. Blood pressure differences between northern and southern Chinese: role of dietary factors: the International Study on Macronutrients and Blood Pressure. Hypertension. 2004; 43: 1332-7.
- コホート
- 1997~1998年にINTERMAP研究に参加した中国の3集団の40~59歳の839人。
北部コホートとして北京(272人)および山西(289人),南部コホートとして広西チワン族自治区(278人)の解析を行った。 - 結 果
- 北部の2集団間では主要栄養素の摂取傾向が似ていたが,北部と南部の間には多くの違いが見られた。
北部が有意に高い値を示したのは,血圧(北部 123.7 / 75.5 mmHg,南部116.3 / 68.6 mmHg),高血圧有病率(22.3%,7.2%),降圧薬服用率(10.2%,2.2%),BMI(P<0.001,23.8 kg/m2,21.8 kg/m2),心血管疾患 / 糖尿病罹患率,特別食*の割合,総摂取エネルギー,P/S比(長鎖不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比),ナトリウム,ナトリウム/カリウム比,植物性蛋白質,炭水化物,澱粉,繊維質,ビタミンE,セレニウムの摂取(P<0.05)。(*特別食: 体重管理食,ベジタリアン食,減塩食,糖尿病食,脂肪管理食など)
南部が有意に高い値を示したのは1日の運動量(P<0.001,1時間未満,4時間),飲酒量,飲酒率,全蛋白質,動物性蛋白質,全脂肪,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,カリウム,ビタミンA,レチノール,βカロテン,ビタミンC,カルシウム,マグネシウム,リンの摂取(P<0.05)。
北部の血圧は南部よりも7.6 / 6.9 mmHg高く,この差は有意であった(P<0.001,年齢および性別で補正後)。
多変量回帰分析によると,この血圧差に関与していると考えられる要素は,BMIおよびナトリウム,カリウム,リン,マグネシウムの摂取。
以上のように,中国北部では南部よりも血圧が高いこと,およびその背景として南部のほうが健康的な食生活をしている傾向があることが示された。また,食生活と血圧との関連の中でも特に,BMIおよびナトリウム,カリウム,リン,マグネシウムなどの栄養素の摂取が関与している可能性が示唆された。