[1989年文献] BMIと血圧は相関する
BMIは血圧と有意に関連することがわかった。
Dyer AR, et al. The INTERSALT study: relations of body mass index to blood pressure. INTERSALT Co-operative Research Group. J Hum Hypertens. 1989; 3: 299-308.
- コホート
- 20~59歳で,24時間蓄尿を含む必要データがすべて得られた10079例(男性5045例,女性5034例,32か国52集団)。
- 結 果
- 各集団における血圧の中央値は,男性で収縮期血圧(SBP) 101.8~134.3 mmHg,拡張期血圧(DBP) 63.8~84.8 mmHg,女性ではSBP 89.0~130.5 mmHg,DBP 57.5~80.3 mmHgの範囲にあった。
血圧中央値がもっとも低かったのはブラジルのヤノマミ族およびシングー族,もっとも高かったのはポルトガル,デンマーク,および米国ミシシッピ州ジャクソン(アフリカ系アメリカ人)。
各集団におけるBMIの中央値は,男性で20.2~30.4 kg/m2,女性で19.8~31.0 kg/m2の範囲にあった。
中央値がもっとも高かったのは米国ミシシッピ州グッドマン(アフリカ系アメリカ人)および米国ハワイ州,もっとも低かったのはケニアおよびインドのラダック。
BMIとSBPは,52集団中男性29集団,女性30集団で有意な相関を示した(P<0.05)。
日本では,大阪と栃木の男性,および富山の女性で有意な相関が見られた(P<0.05)。
BMIとSBPは全集団でみた解析で有意な相関を示した。多変量回帰分析において全集団の回帰係数の加重平均をとると,男性ではBMIが1 (体重換算で約3 kg) 増加するとSBPが0.91 mmHg増加し,女性ではBMIが1 (体重換算で約2.5 kg)増加するとSBPが0.72 mmHg増加することがわかった。
BMIとDBPは,52集団中男性33集団,女性28集団で有意な相関を示した(P<0.05)。
日本では,大阪,栃木,富山の男性,および富山の女性で有意な相関が見られた(P<0.05)。
BMIとDBPは全集団でみた解析で有意な相関を示した。多変量回帰分析において全集団の回帰係数の加重平均をとると,男性ではBMIが1増加するとDBPが0.75 mmHg増加し,女性ではBMIが1増加するとDBPが0.50 mmHg増加することがわかった。
BMIと血圧の相関は,20~39歳,40~59歳のいずれの年齢層においても有意であり,特に20~39歳で相関が強かった。
また,各集団のBMIと血圧の5つの尺度(SBP中央値,DBP中央値,高血圧有病率,加齢にともなうSBP変化,加齢にともなうDBP変化)との関係を解析した結果,その集団のBMIとの有意な相関を示したのは男女ともにSBP中央値,DBP中央値,高血圧有病率であった。
以上のように,BMIは血圧と有意に関連することがわかった。