[1989年文献] ナトリウム摂取およびNa / K比が高い地域では,拡張期血圧が有意に高かった
ナトリウム摂取およびNa / K比の高い地域では,拡張期血圧が有意に高いことがわかった。これからもナトリウムの摂取をさらに減らし,果物や野菜からのカリウム摂取を適度に増やすことによる高血圧の抑制が期待される。
Hashimoto T, et al. Urinary sodium and potassium excretion, body mass index, alcohol intake and blood pressure in three Japanese populations. J Hum Hypertens. 1989; 3: 315-21.
- コホート
- INTERSALT研究に参加した32か国52地域のうち,日本の3地域について検討した。
大阪府吹田市の生命保険会社の社員とその配偶者200例,富山県のアルミ建築資材工場に勤める200例,および栃木県の農村住民200例のうち,データに不備があった9例を除いた20~59歳の591例(1985年)。
3地域の平均収縮期血圧(SBP)は117.2 mmHg,平均拡張期血圧(DBP)は69.7 mmHg。
平均尿中ナトリウム排泄は187.1 mmol / 24時間と当初の予想よりは低かったものの,他の国にくらべて高い値を示した。 - 結 果
- 富山で栃木および大阪よりも有意に高い値を示したのは,拡張期血圧,尿中ナトリウム排泄,Na / K比,尿量(P<0.01)。また,尿中カリウム排泄,尿中クレアチニン排泄およびBMIも,3地域の中でもっとも高い値を示した。
血圧とナトリウムおよびNa / K比は,富山と栃木で正の相関傾向を示したが,大阪では血圧とナトリウムの有意な負の相関を示した。
血圧とカリウムはおもに負の相関傾向を示し,これはINTERSALT全体の結果と一致するものだった。
血圧とBMIは,いずれの集団でも有意な正の相関を示した。
血圧とアルコール多量摂取(100%アルコール300 mL換算 / 週)は,INTERSALT全対象および大阪(SBPのみ)において有意な正の相関を示した。
自己記入式質問票で「減塩した」と答えた人の割合を,正常血圧,未治療高血圧(140 / 90 mmHg以上),治療下高血圧(降圧薬服用中)の3群において比較した結果,治療下高血圧群において減塩した人の割合がもっとも高くなった(P<0.001)。
以上のように,ナトリウム摂取およびNa / K比の高い地域では,拡張期血圧が有意に高いことがわかった。これからもナトリウムの摂取をさらに減らし,果物や野菜からのカリウム摂取を適度に増やすことによる高血圧の抑制が期待される。