[1993年文献] 血清アルブミン,血清クレアチニン,BMI低値は透析患者の全死亡予測因子

透析患者において,血清アルブミン低値,血清クレアチニン低値,およびBMI低値が全死亡の有意な予測因子であることがわかった。これらのリスク因子をもつ患者においては,透析指示を慎重に行うべきである。

Iseki K, et al. Serum albumin is a strong predictor of death in chronic dialysis patients. Kidney Int. 1993; 44: 115-9.pubmed

コホート
1971~1990年にOKIDSに登録され,1991年1月の時点で維持血液透析を受けていた1243人のうち,腎臓移植をうけた人(16人)および転居者(5人)を除いた1222人(男性707人,女性515人)を1991年1月~1992年4月にかけて追跡(追跡率100 %)。
平均年齢は52.2歳,透析を受けている期間の平均は61.9か月間。50 %以上が降圧薬を服用していた。
基礎疾患の内訳は,慢性糸球体腎炎67.5 %,糖尿病性腎症17.0 %,高血圧性腎症4.7 %,多発性嚢胞腎2.3 %,ループス腎炎1.9 %,その他6.6 %。

追跡期間中の死因は,感染症,透析中止,心臓死,突然死,血管疾患死,その他,の6つに分類し検討を行った。
結 果
死亡は104人。
うち感染症による死亡は16.3 %,透析中止による死亡は16.3 %,心臓死は28.0 %,突然死は7.7 %,血管疾患死16.3 %,その他15.4 %。

死亡した人で,生存した人よりも有意に高い値を示したのは年齢,および糖尿病の割合。
死亡した人で,生存した人よりも有意に低い値を示したのは,透析期間,透析量,身長,体重,BMI,拡張期血圧,血清総蛋白質,血清アルブミン,血中総コレステロール,血中トリグリセリド,血中尿素窒素,血清クレアチニン,飲酒率,および以前飲酒していた人の割合。

ロジスティック分析によると,年齢,性別(男性),血清アルブミン低値,血清クレアチニン低値およびBMI低値は,いずれも全死亡リスクの有意な予測因子だった。
血清アルブミンおよび血清クレアチニンの分布(人数の割合)と各区分における粗死亡率は以下のとおり。
 血清アルブミン
     3.5 g/dL未満(16.9 %): 22.3 %
     3.5~3.9 g/dL(41.1 %): 7.6 %
     4.0~4.4 g/dL(30.6 %): 4.3 %
     4.5 g/dL以上(11.4 %): 2.2 %

 血清クレアチニン
     10 mg/dL未満(17.4 %): 18.8 %
     10~14.9 mg/dL(52.0 %): 9.0 %
     15.0~19.9 mg/dL(29.0 %): 1.1 %
     20 mg/dL以上(1.6 %): 0 %

ピアソンの相関係数により関連を調べた結果,透析量と有意な相関を示したのは血清クレアチニン,BMI,透析期間で,有意な負の相関を示したのは年齢。

以上のように,透析患者において,血清アルブミン低値,血清クレアチニン低値,およびBMI低値が全死亡の有意な予測因子であることがわかった。これらのリスク因子をもつ患者においては,透析指示を慎重に行うべきである。


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