[2003年文献] 蛋白尿は末期腎疾患の危険因子

蛋白尿および血尿がESRDの危険因子であることがわかった。ESRDの予防の観点から,簡便な試験紙法による蛋白尿スクリーニングの重要性が示唆される。

Iseki K, et al. Proteinuria and the risk of developing end-stage renal disease. Kidney Int. 2003; 63: 1468-74.pubmed

コホート
1983年に沖縄県総合保健協会(Okinawa General Health Maintenance Association,OGHMA) による健診を受診した20歳以上の沖縄県住民106177人(男性50584人,女性55593人)を2000年まで17年間追跡。
このうちOKIDSにも登録された透析患者(1983~2000年のあいだに新たに透析を開始し,1か月以上生存)についてOGHMAの健診データとOKIDSのデータの照合を行うことにより,1983年の健診受診者のうち2000年までに末期腎疾患を発症した人を把握した。
1983年にすでに透析を行っていた人は除外。

蛋白尿の判定は,試験紙法(随時尿)により行った。
結 果
透析を開始したのは420人(男性246人,女性174人)。
ベースラインから透析開始までの平均期間は,蛋白尿の度合いが上がるにつれて有意に減少した(P<0.01)。なお,蛋白尿がない人では141.4か月,蛋白尿3+の人では103.9か月。

多変量ロジスティック解析によると,蛋白尿は末期腎疾患(ESRD)発症の強い危険因子であった。年齢,性別,収縮期血圧,拡張期血圧およびBMIで調整したオッズ比は2.71(95 %信頼区間2.51-2.92,P<0.001)。
血尿は男性のESRD発症の有意な危険因子であったが,女性においては有意な関連はみられなかった。年齢,性別,収縮期血圧,拡張期血圧およびBMIで調整した男性のオッズ比は1.38(1.19-1.61,P<0.001)。

蛋白尿の度合いごとにESRDの発症リスクをみると,男性においては,±という軽度の状態でもESRD発症のオッズ比が有意に上昇した。

 男性
   蛋白尿なし: 1.00
   蛋白尿±: 1.77(95 %信頼区間1.13-2.78,P=0.012)
   蛋白尿1+: 1.93(1.53-2.41,P<0.001)
   蛋白尿2+: 2.95(2.59-3.37,P<0.001)
   蛋白尿3+: 2.60(2.28-2.96,P<0.001)
   蛋白尿4+: 2.56(1.51-4.34,P=0.001)

 女性
   蛋白尿なし: 1.00
   蛋白尿±: 1.34(0.74-2.41,有意差なし)
   蛋白尿1+: 2.42(1.91-3.06,P<0.001)
   蛋白尿2+: 2.66(2.26-3.14,P<0.001)
   蛋白尿3+: 2.81(2.45-3.22,P<0.001)
   蛋白尿4+: 3.43(2.21-5.31,P<0.001)

以上のように,蛋白尿および血尿がESRDの危険因子であることがわかった。ESRDの予防の観点から,簡便な試験紙法による蛋白尿スクリーニングの重要性が示唆される。


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