[2005年文献] 1988~1998年にかけ,心筋梗塞の発症率は変化しなかった
地域での心筋梗塞発症率およびその傾向を調査するため,発症登録研究を行った。その結果,1988~1998年にかけ,心筋梗塞の発症率は変化していなかった。35~64歳における心筋梗塞の年間発症率(10万人あたり)は男性55.5,女性9.1で,WHO MONICAに参加した他の国よりも顕著に低かった。
Yoshida M, et al. Incidence of acute myocardial infarction in Takashima, Shiga, Japan. Circ J. 2005; 69: 404-8.
- コホート
- 滋賀県高島市における1988~1998年の心筋梗塞発症例,または心筋梗塞が原因と考えられる院外心突然死例291人。
心筋梗塞の診断は,WHO MONICAの基準にしたがった。 - 結 果
- 11年の間に心筋梗塞を発症した,または心筋梗塞が原因と考えられる院外心突然死となった291人のうち,男性は190人,女性は101人。
平均年齢は69.5歳(29~96歳)。
28日以内に死亡したのは111人。
うち,院外心突然死または心肺停止が74人,搬送後24時間以内の死亡または三次医療施設へ救急搬送中の死亡が22人,搬送後24時間~28日目の死亡が15人。
1988年から1998年にかけ,心筋梗塞の発症率に有意な変化はみとめられなかった。
35~64歳の男性における心筋梗塞の年間発症率(年齢調整,10万人あたり)は55.5,女性では9.1。
この結果は,WHO MONICAによる各国のデータと比較して,顕著に低かった。
◇ 結論
地域での心筋梗塞発症率およびその傾向を調査するため,発症登録研究を行った。その結果,1988~1998年にかけ,心筋梗塞の発症率は変化していなかった。35~64歳における心筋梗塞の年間発症率(10万人あたり)は男性55.5,女性9.1で,WHO MONICAに参加した他の国よりも顕著に低かった。