[2007年文献] 高血圧,糖尿病合併患者において,大気汚染と心血管疾患による救急来院の増加は関連する(SOPHIA Study)
Peel JL, et al: Ambient air pollution and cardiovascular emergency department visits in potentially sensitive groups. Am J Epidemiol. 2007; 165: 625-33.
- 目的
- 大気汚染と心血管疾患による救急来院との関連を,高血圧,糖尿病,不整脈,うっ血性心不全(CHF),アテローム性動脈硬化の合併の有無で検討する。
- コホート
- Study of Particles and Health in Atlanta (SOPHIA) のために蓄積したデータベースを使用。
1993年1月1日~2000年8月31日に米国・アトランタの31病院の救急診療部に来院した400万人以上。
大気汚染の評価(環境基準設定項目)
粒径10μm未満の浮遊粒子状物質(PM10)24時間値; 最大オゾン濃度8時間値; 二酸化窒素,二酸化硫黄,一酸化炭素濃度の最大1時間値。
大気汚染測定網(Air Quality System,Georgia Department of Natural Resource,Metro Atlanta Index)のデータを使用。 - 結 果
- 1993~2000年の全心血管疾患103,551例:高血圧合併例30%;糖尿病合併例15%;不整脈合併例12%,虚血性心疾患32,731例:35%;17%;17%,不整脈27,342例:15%;6%;-,末梢動脈および脳血管疾患23,411例:37%;16%;12%,CHF 20,073例:31%;24%;23%。
高血圧合併例は非合併例に比べ,二酸化窒素濃度,一酸化炭素濃度の上昇とともに不整脈が,PM10の上昇に伴いCHFが有意に増加した。
・ 不整脈による受診のオッズ比
二酸化窒素上昇(20 ppb)下
高血圧合併例 1.095(95%信頼区間1.030~1.165),非合併例 1.009(0.982~1.036); 相互作用P<0.05。
糖尿病合併例 1.158(1.046~1.282),非合併例 1.014(0.988~1.040); P<0.05。
一酸化炭素上昇(1 ppm)下
高血圧合併例 1.065(1.015~1.118),非合併例 1.008(0.988~1.029); P<0.05。
・ CHFによる受診のオッズ比
PM10上昇(10μg/m3)下
高血圧合併例 1.041(0.999~1.084),非合併例 0.982(0.955~1.010); P<0.05。
・ 末梢動脈および脳血管疾患による受診のオッズ比
オゾン上昇(25 ppb)下
慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併例 1.237(1.039~1.473),非合併例 1.009(0.967~1.053); P<0.05。
●結論
大気汚染による有害心血管疾患イベントは,高血圧,糖尿病,COPDの合併例で起こりやすいことが示された。
監修: epi-c.jp編集委員 磯 博康