(1)Swedish Mammography Cohort(女性)と(2)Cohort of Swedish Men(男性)の対象者における前向きの検討,ならびに(3)Swedish Mammography CohortのサブコホートとUppsala Longitudinal Study of Adult Men(ULSAM)コホートにおける,牛乳の摂取と酸化ストレス・炎症のバイオマーカーの関連について検討を行った。
(1)Swedish Mammography Cohort: スウェーデン中心部のウプサラまたはヴェストマンランドの住民で,1987~1990年にマンモグラフィ定期健診(ベースライン)を受けた39~74歳の女性90303人のうち,以下にすべて該当する38984人を,2010年12月31日まで22年間(中央値)追跡(123万1818人・年)。国民全員がもつID番号によるスウェーデン死亡登録(Swedish cause of death registry)ならびにスウェーデン全国患者登録(Swedish national patient registry)とのデータ連結を行い,死因別死亡ならびに骨折の状況を調査した。
・非黒色腫皮膚癌を除く癌の既往,ならびにデータに不備がない
・健診案内状に同封された食物摂取頻度調査票(FFQ)ならびに生活習慣質問票に回答(回答率74%)し,さらに1997年に実施された追加調査で再度FFQに回答(回答率70%)
・総エネルギー摂取量が平均値の3 SD以内
(2)Cohort of Swedish Men: スウェーデン中心部のエレブルーまたはヴェストマンランドの住民で,1997年に健診(ベースライン)を受けた45~79歳の男性100303人のうち,以下にすべて該当する45339人を,2010年12月31日まで13年間(中央値)追跡(53万4094人・年)。国民全員がもつID番号によるスウェーデン死亡登録ならびにスウェーデン全国患者登録とのデータ連結を行い,死因別死亡ならびに骨折の状況を調査した。
・非黒色腫皮膚癌を除く癌の既往,ならびにデータに不備がない
・健診案内状に同封のFFQならびに生活習慣質問票に回答(回答率49%)
・総エネルギー摂取量が平均値の3 SD以内
牛乳および乳製品(発酵乳,ヨーグルト,チーズ)の摂取量については,FFQによる食事調査で,96の食品の過去1年間の平均摂取頻度ならびに1回あたりの摂取量をたずねた結果から算出し,対象者を牛乳の摂取量による4つのカテゴリー(1日200g[1杯]未満/1日200~399 g[1~2杯]/1日400~599 g[2~3杯]/1日600 g[3杯]以上)に分けた(FFQを2回実施したSwedish Mammography Cohortでは,2回の調査結果を累積して摂取量を算出)。さらにSwedish National Food Agencyを参照し,種々の栄養素の摂取量を推定した(残差法によって総エネルギー摂取量で調整)。
(3)バイオマーカーの検討: 尿中8-イソプロスタグランジンF2α(酸化ストレスのマーカー)については,Swedish Mammography Cohortのサブコホートである臨床コホート(女性5022人)のうち,2003~09年にFFQならびに尿検査を実施した892人(平均年齢70歳),ならびにULSAMコホート(男性1138人)の第3回健診で1週間の食事記録,かつ第4回健診で尿検査を実施した633人で測定(尿検査時の平均年齢77歳)。血中のインターロイキン6(炎症のマーカー)については,ULSAMの第3回健診で1週間の食事記録,かつ第4回健診で血液検査を実施した700人で測定(血液検査時の平均年齢77歳)。