滋賀県草津市 |
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2006年 (女性の調査は2015年から) | |
2006年に住民基本台帳から無作為抽出された40~79歳の男性,および2015年に住民基本台帳から無作為抽出された65~85歳の女性 | |
1236人 | |
冠動脈石灰化,大動脈石灰化,頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT),頸動脈プラーク,上腕-足首脈派伝播速度(baPWV),足関節上腕血圧比(ABI),無症候性脳血管障害(ラクナ梗塞,白質病変,微小出血)*,脳容積*,海馬萎縮度*,心臓周囲脂肪,皮下脂肪,内臓脂肪,身長,体重,健診時血圧,家庭血圧,服薬状況,血清脂質(総コレステロール,LDL-C,HDL-C,トリグリセリド),血清リポ蛋白粒子濃度,リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(Lp-PLA2),HbA1c,空腹時血糖,高感度CRP,フィブリノゲン,既往歴,喫煙習慣,飲酒習慣,身体活動,フレイル,心電図,遺伝子,骨密度(女性のみ),歩数,活動量,認知機能*,24時間ホルター心電図*,24時間自律神経機能モニタリング*,24時間自由行動下血圧*,24時間酸素飽和度モニタリング*,呼吸機能*など
*男性では追跡健診時のみ
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滋賀医科大学 SESSAホームページ https://shiga-publichealth.jp/sessa/ |
40~49歳の若年男性を対象としたERA JUMPに対し,SESSAでは,上は79歳までと高齢者まで対象年齢を広げた。放射線被曝が避けられないCT検査を行うことや,男性のほうが高リスクであることから,開始当初は男性のみを対象としていたが,2015年から高齢世代(65~84歳)の女性の登録も始まった。
主要なターゲットである潜在性動脈硬化については,部位に応じて超音波やCTスキャンなどさまざまな非侵襲検査を実施し,数値や画像による客観的な評価を行っていることが特長。国際比較のために厳密な標準化を実施した先行研究ERA JUMPの経験が活かされている。実際に米国の疫学研究MESAとの比較によって,冠動脈石灰化の進展度の日米差は若年世代ほど縮まってきているという重要な知見が得られた(抄録へ)。
潜在性動脈硬化の各指標以外にも,滋賀医科大学病院の複数の診療科や国内外の他施設の協力も得ながら,遺伝子や生体内微量産物(メタボローム),フレイル,呼吸機能,24時間心電図・血圧,そして異所性脂肪の新しい指標である心臓周囲脂肪など,非常に多岐にわたる調査が行われている。なかでもとくに注目されるのが認知機能。2012年からは追跡健診に頭部MRI検査も追加され,潜在性の脳血管障害とともに脳容積や海馬萎縮度も定量的に評価できるようになった。動脈硬化性疾患のみならず,認知症の早期発見と予防にも役立つエビデンスの構築が期待される。
単なる病気の予防や長生きではなく,元気で自立した生活をできるだけ長く送ることのできる社会の実現に向け,もっとも高齢化の進んだ日本のエビデンスに世界が注目している。
(座談会「心血管疾患予防の最前線:潜在性動脈硬化をとらえる」もご参照ください)
・2019.6.28
[2019年文献] DHAの血中濃度は冠動脈石灰化と負に関連する
・2016.7.06
[2016年文献] 変性LDLの指標であるLOX-1リガンドの血清中濃度は,頸動脈の潜在性動脈硬化と関連する
・2016.7.06
[2015年文献] リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2(Lp-PLA2)活性は頸動脈の潜在性動脈硬化と関連するが,因果関係は支持されず
・2016.7.06
[2015年文献] 上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)が大きいほど,冠動脈石灰化の有所見率が高い
・2016.7.06
[2015年文献] 全HDL粒子濃度は,HDL-Cとは独立して頸動脈硬化と関連する
・2016.7.06
[2014年文献] 潜在性冠動脈硬化は白人男性のほうが進展しているものの,若年になるほど日本人男性との差は縮まる(MESA+SESSA)
・2016.7.06
[2014年文献] リポ蛋白分画の一部(全LDL,small LDL,全VLDLおよびsmall VLDL)は冠動脈石灰化と関連する
・2016.7.06
[2013年文献] 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』の脂質管理区分は,一般住民の頸動脈硬化の進展度と一致