[2005年文献] 男性のhsCRP高値は脳梗塞の危険因子
男性のhsCRPは脳梗塞の有意な危険因子であった。hsCRPと脳出血との関連は男女ともにみとめられなかった。また,hsCRP高値と既知の危険因子をあわせもつ人では脳梗塞リスクがとくに大きかったことから,このような人では,各危険因子の管理についてさらに注意する必要があると考えられる。
Wakugawa Y, et al: C-reactive protein and risk of first-ever ischemic and hemorrhagic stroke in a general Japanese population: the Hisayama Study.Stroke 2006; 37: 27-32.
- コホート
- 40歳以上の2742人のうち,脳卒中または心筋梗塞既往のある96人,血液サンプルからhsCRPが測定不可能だった54人を除いた2592人(1998~2000年,12年間)。
平均年齢は男性58歳,女性59歳。女性に比べ,男性で高い値を示したのは,高感度CRP,血圧,高血圧,心電図異常,糖尿病,喫煙,飲酒,運動習慣。女性に比べ,男性で低い値を示したのは,BMI,総コレステロール,HDL-C。 - 結 果
- 男性の脳梗塞の発症率は,hsCRPと正の相関を示した(P<0.01)が,女性では相関なし(P=0.71)
男女ともに,脳出血の発症率とhsCRPは相関せず。
hsCRP高値と同時に存在することで初発脳梗塞の相対危険度が有意に高かった因子は,
・高血圧(相対危険度2.77,95%信頼区間1.31-5.83,P<0.01),
・糖尿病(相対危険度4.30,95%信頼区間1.89-9.79,P<0.01),
・肥満(相対危険度4.00,95%信頼区間1.53-10.46,P<0.01),
・高脂血症(相対危険度3.74,95%信頼区間1.71-8.19,P<0.01),
・喫煙(相対危険度2.29,95%信頼区間1.78-4.87,P=0.03)。
(いずれも,vs. 両因子とも持たない例)
hsCRP高値と有意な相互作用関係が見られたのは,糖尿病,高脂血症,高血圧。
以上のように,男性のhsCRPは脳梗塞の有意な危険因子であった。hsCRPと脳出血との関連は男女ともにみとめられなかった。また,hsCRP高値と既知の危険因子をあわせもつ人では脳梗塞リスクがとくに大きかったことから,このような人では,各危険因子の管理についてさらに注意する必要があると考えられる。