[2005年文献] 慢性腎臓病(CKD)は,男性の冠動脈疾患,および女性の脳梗塞における独立した危険因子
心血管疾患(CVD)を有さない日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,慢性腎臓病(CKD)とCVDとの関連を検討した。12年間の追跡の結果,CKDは男性の冠動脈疾患,女性のCVDおよび脳梗塞の独立した危険因子であることが示された。日本人一般住民を対象にCKDとCVDの関連を検討したはじめての研究である。
Ninomiya T, et al: Chronic kidney disease and cardiovascular disease in a general Japanese population: the Hisayama Study.Kidney Int 2005; 68: 228-36.
- コホート
- 心血管疾患既往のない,40歳以上の2634例(1988年より12年間)。
- 結 果
- 慢性腎臓病(CKD)群で非CKD群に比べ有意に高い値を示したのは,年齢,血清尿素窒素,クレアチニン,収縮期血圧,総コレステロール,ホモシステイン,および降圧薬の服用率。
冠動脈疾患は99例,脳梗塞は137例,脳出血は60例。
心血管疾患の発症数男性 女性 計 冠動脈疾患 56 43 99 脳梗塞 60 77 137 脳出血 26 34 60
男性では,CKD群における冠動脈疾患の発症率が,非CKD群に比べ有意に高かったが,脳梗塞では有意差なし。
女性では逆に,CKD群における脳梗塞の発症率が,非CKDに比べ有意に高かったが,冠動脈疾患では有意差なし。
CKDおよび非CKD群の心血管疾患発症率男性 女性 CKD 非CKD 有意差 CKD 非CKD 有意差 心血管疾患 10.7 8.3 - 6.7 4.8 P<0.05 冠動脈疾患 6.2 2.9 P<0.05 2.7 1.3 - 脳梗塞 3.1 3.8 - 3.4 2.5 P<0.05 脳出血 1.2 1.9 - 0.8 1.4 - 発症率 / 1000人・年
多変量解析によると,収縮期血圧,降圧薬服用の有無,心電図,糖尿病,総コレステロール,HDL-C,トリグリセリド,BMI,喫煙,飲酒などの因子で補正後も,CKDは,男性の冠動脈疾患,および女性の脳梗塞における独立した危険因子であった。