[2004年文献] 歯周病は,心電図異常の独立した危険因子

日本人一般住民を対象としたコホート研究における断面解析により,歯周病と心電図異常との関連を検討した。その結果,歯周病は,年齢や血圧とは独立して心電図異常と相関していた。このことから,歯周病と心血管疾患との関連が示唆された。

Shimazaki Y, et al: Relationship between electrocardiographic abnormalities and periodontal disease: the Hisayama Study.J Periodontol 2004; 75: 791-7.pubmed

コホート
20歳以上で,歯が10本以上あり,心血管疾患既往のない957人(男性374人,女性583人,1998年)。
結 果
心電図異常群で,正常群に比べ有意に高い比率を示したのは性別(男性),有意に高い値を示したのは年齢,歯の本数,収縮期および拡張期血圧,歯周ポケットの深さ,アタッチメントレベル*。
  *アタッチメントレベルとは,歯のエナメル質とセメント質の境界からポケット底までの距離。
心電図異常と種々の因子
心電図
正常 異常 P
年齢 (歳) 55.1 60.2 <0.001
歯の数 (本) 25.4 23.9 0.001
収縮期血圧 (mmHg) 126.6 142.9 <0.001
拡張期血圧 (mmHg) 77.5 82.7 <0.001
歯周ポケットの深さ (mm) 1.6 1.8 <0.001
アタッチメントレベル (mm) 1.9 2.2 <0.001

多変量解析によると,心電図異常の有意な危険因子は,歯周ポケットの深さ,アタッチメントレベル,年齢および収縮期血圧。
歯周ポケット2 mm以上の人の心電図異常のオッズ比は1.6(vs. 2 mm未満),アタッチメントレベル2.5 mm以上の例のオッズ比は1.7(vs. 2.5 mm未満)。

◇ 結論
日本人一般住民を対象としたコホート研究における断面解析により,歯周病と心電図異常との関連を検討した。その結果,歯周病は,年齢や血圧とは独立して心電図異常と相関していた。このことから,歯周病と心血管疾患との関連が示唆された。


▲このページの一番上へ

--- epi-c.jp 収載疫学 ---
Topics
【epi-c研究一覧】 CIRCS | EPOCH-JAPAN | Funagata Diabetes Study(舟形スタディ) | HIPOP-OHP | Hisayama Study(久山町研究)| Iwate KENCO Study(岩手県北地域コホート研究) | JACC | JALS | JMSコホート研究 | JPHC | NIPPON DATA | Ohasama Study(大迫研究) | Ohsaki Study(大崎研究) | Osaka Health Survey(大阪ヘルスサーベイ) | 大阪職域コホート研究 | SESSA | Shibata Study(新発田研究) | 滋賀国保コホート研究 | Suita Study(吹田研究) | Takahata Study(高畠研究) | Tanno Sobetsu Study(端野・壮瞥町研究) | Toyama Study(富山スタディ) | HAAS(ホノルルアジア老化研究) | Honolulu Heart Program(ホノルル心臓調査) | Japanese-Brazilian Diabetes Study(日系ブラジル人糖尿病研究) | NI-HON-SAN Study
【登録研究】 OACIS | OKIDS | 高島循環器疾患発症登録研究
【国際共同研究】 APCSC | ERA JUMP | INTERSALT | INTERMAP | INTERLIPID | REACH Registry | Seven Countries Study
【循環器臨床疫学のパイオニア】 Framingham Heart Study(フラミンガム心臓研究),動画編
【最新の疫学】 Worldwide文献ニュース | 学会報告
………………………………………………………………………………………
copyright Life Science Publishing Co., Ltd. All Rights Reserved.