[2003年文献] 1980~90年代にかけ,男性の飲酒量および女性の多価不飽和脂肪酸 / 飽和脂肪酸比減少は,耐糖能異常の独立した危険因子
男性の飲酒量,および女性のP/S比減少は,耐糖能異常の独立した危険因子であることがわかった。増加を続けている糖尿病を予防するためには,肥満や運動不足だけでなく,欧米化した食習慣への対策も必要だと考えられる。
Kiyohara Y, et al: Dietary factors and development of impaired glucose tolerance and diabetes in a general Japanese population: the hisayama study.J Epidemiol 2003; 13: 251-8.
- コホート
- 耐糖能に異常がない40~74歳の1625人(1988年~1993/1994年)。
追跡率は66.2 %。 - 結 果
- 食事以外の因子のうち,正常群に比べ耐糖能異常群で有意に高い値を示したのは,年齢(女性のみ),体重(男性のみ),BMI,収縮期血圧,拡張期血圧(男性のみ),空腹時血糖,空腹時血中インスリン(男性のみ),トリグリセリド(男性のみ)。一方,有意差がなかったのは,総コレステロール,HDL-C,余暇の運動量,喫煙。
食事因子のうち,正常群に比べ耐糖能異常群で有意に高い値を示したのは,飲酒量(男性のみ),P/S比(女性のみ)。
耐糖能異常の発症は119人(11.1 %),糖尿病の発症は24人(2.2 %)。
耐糖能異常群の女性では,追跡期間中の動物性脂肪摂取の減少幅(-0.1 g)が正常群(-1.7 g)に比べて小さく,その結果として,耐糖能異常群のP/S比の減少幅(-0.09)が,正常群(+0.05)に比べて有意に大きくなった(P<0.05)。
多重ロジスティック回帰分析によると,食事因子のうち,男性の飲酒量,および女性のP/S比減少は,耐糖能異常の独立した危険因子。
食事以外の因子のうち,空腹時血中インスリン(男女とも)は,耐糖能異常の独立した危険因子。
以上のように,男性の飲酒量,および女性のP/S比減少は,耐糖能異常の独立した危険因子であることがわかった。増加を続けている糖尿病を予防するためには,肥満や運動不足だけでなく,欧米化した食習慣への対策も必要だと考えられる。