[2002年文献] 男性の飲酒は,高血圧の有意な予測因子
日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,高血圧発症の危険因子,とくに飲酒と高血圧発症リスクとの関連を検討した。10年間の追跡の結果,男性の飲酒は,少量であっても,高血圧発症の重要な予測因子であることが示唆された。
Ohmori S, et al: Alcohol intake and future incidence of hypertension in a general Japanese population: the Hisayama study.Alcohol Clin Exp Res 2002; 26: 1010-6.
- コホート
- 40歳以上の2449人のうち,脳血管疾患,心筋梗塞または高血圧既往のある366人,高血圧の831人,空腹時血糖が測定できなかった35人,転居・死亡などで追跡不可能となった116人を除いた1101人(1978年~約10年間)。うち男性は433人(追跡率78 %),女性は668人(追跡率82 %)。
- 結 果
- 男性の収縮期,拡張期,および平均血圧は,23~45 g/日の飲酒例を境に,有意に増加した。
飲酒と特に相関が見られなかったのは,男性のBMI,皮下脂肪厚比,総コレステロール,トリグリセリド,空腹時血糖,喫煙,左室肥大,高血圧家族歴。
男性の46 g/日以上の飲酒者では,非飲酒者に比べヘマトクリット値が有意に高かった。
男性の飲酒量とγ-GTPは有意に相関した。
男性の飲酒者では,非飲酒者に比べ尿酸値が有意に高かった。
女性の飲酒者で非飲酒者より有意に高い値を示したのは,拡張期および平均血圧,γ-GTP,喫煙率。
高血圧を発症したのは男性101人,女性166人。
男性では,23 g/日以下の少量飲酒者を含むすべての飲酒者で,非飲酒者に比べて高血圧の発症率が有意に高かった。もっとも発症率が高かったのは23~45 g/日の飲酒者で,それ以上になると,発症率は飲酒量とともに減少した。
女性では,非飲酒者に比べ,飲酒者の高血圧の発症率が有意に高かった。
コックス比例ハザードモデルによる他の因子の補正後も,男性の飲酒は高血圧発症の相対リスクを有意に増加させた(vs. 非飲酒)。
男性の飲酒のほかに高血圧発症の相対リスクと有意な関連を示していたのは,男女とも年齢および平均血圧。