[1996年文献] 2型糖尿病は脳梗塞および冠動脈疾患の有意な危険因子で,耐糖能異常は心血管疾患の有意な危険因子
日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,糖尿病および耐糖能異常と,脳梗塞や冠動脈疾患発症リスクとの関連を検討した。5年間の追跡の結果,耐糖能正常の人にくらべ,糖尿病の人では心血管疾患,脳梗塞および冠動脈疾患の発症リスクがいずれも有意に高く,また耐糖能異常の人でも心血管疾患発症リスクが有意に高かった。このように,糖尿病は脳梗塞・冠動脈疾患,耐糖能異常は心血管疾患のそれぞれ有意な危険因子であることが示された。
Fujishima M, et al: Diabetes and cardiovascular disease in a prospective population survey in Japan: The Hisayama Study.Diabetes 1996; 45 Suppl 3: S14-6.
- コホート
- 40~79歳の2480例のうち,脳卒中または心筋梗塞の既往のある53例を除いた2427例(1988~1993年の5年間)。
剖検率は80%(死亡99例中79例)。 - 結 果
- 脳卒中発症は54例(うち脳梗塞が36例,脳出血が8例,くも膜下出血が10例)で,冠動脈疾患発症は28例(うち心筋梗塞が20例,心臓突然死が8例)。
耐糖能が正常だったのは男性699例(67%),女性994例(72%)。耐糖能異常はそれぞれ205例(20%),269例(19%)で,2型(インスリン非依存性)糖尿病はそれぞれ137例(13%),123例(9%)。なお,すべての糖尿病が2型だった。
判断基準は,糖尿病=空腹時血糖140.4mg/dL以上または食後2時間血糖199.8mg/dL以上,耐糖能異常=空腹時血糖140.4mg/dL未満かつ食後2時間血糖140.4mg/dL以上199.8mg/dL未満,正常=空腹時血糖140.4mg/dL未満かつ食後2時間血糖140.4mg/dL未満。
男性の糖尿病群,および耐糖能異常群で正常群にくらべ有意に高頻度だったのは,高血圧と肥満。
男性の糖尿病群で正常群にくらべ有意に高頻度だったのは,高脂血症と飲酒。
女性の糖尿病群,および耐糖能異常群で正常群にくらべ有意に高頻度だったのは,高血圧と肥満。
女性の糖尿病群で正常群にくらべ有意に高頻度だったのは,高脂血症。
女性の飲酒および喫煙では,有意差なし。
年齢・性別補正後の脳梗塞および冠動脈疾患の発症率は,どちらも耐糖能異常度が上がるほど増加した。正常群と糖尿病群の間で有意差があり,この有意性は,コックス比例ハザードモデルにおいて他の因子(年齢,性別,収縮期血圧,ECG上の左室肥大,ST下降,BMI,総コレステロール,HDL-C,喫煙,飲酒)を補正した後でも変わらず。
正常群に対する糖尿病群での脳梗塞発症相対危険度は3.2,冠動脈疾患は2.6。
心血管疾患の発症リスクは,耐糖能異常度が上がるほど増加。正常群に対する心血管疾患発症相対危険度は,耐糖能異常群で1.9(P<0.05),糖尿病群で3.0(P<0.01)。これらの有意性は,多変量解析により他の6因子について補正した後でも変わらず。