[1993年文献] 1980年代末の糖尿病有病率は男性12.7%,女性8.4%
日本人一般住民を対象としたコホート研究における1988年の糖尿病の有病率を調査した。その結果,糖尿病の有病率は男性12.7%,女性8.4%であり,これらの値は日本人を対象に実施された先行試験で報告された値よりもはるかに高いものであった。日本人の糖尿病人口が増加している原因については,さらなる追跡による検討が期待される。
Ohmura T, et al: Prevalence of type 2 (non-insulin-dependent) diabetes mellitus and impaired glucose tolerance in the Japanese general population: the Hisayama Study. Diabetologia 1993; 36: 1198-203.
- コホート
- 40~79歳の2587例のうち,75g経口耐糖能試験(OGTT)を完了しなかった97例を除いた2480例(インスリン治療中の糖尿病例10例を含む。1988年6月~11月)。
男性1077例,女性1413例。 - 結 果
- OGTTでみた糖尿病および耐糖能異常の診断は,1985年のWHO診断基準に従った。
糖尿病の年齢調整有病率は,男性12.7%,女性8.4%だった。
60歳未満の年齢層では,糖尿病の有病率は男性のほうが女性よりも有意に高く(P<0.05),特に50~59歳男性では19.5%と高い有病率を示した。60歳以上では有意差なし。
年齢別有病率(%)は以下のとおり。それぞれ男性,女性の値(*P<0.05 vs. 男性)。
[40~49歳] 7.5,3.9* [50~59歳] 19.5,9.1* [60~69歳] 13.0,13.7 [70~79歳] 12.5,11.7
耐糖能異常の年齢調整有病率は,男性19.6%,女性18.4%だった。年齢別有病率(%)は以下のとおり。それぞれ男性,女性の値。
[40~49歳] 15.3,14.0 [50~59歳] 18.5,18.2 [60~69歳] 27.5,22.7 [70~79歳] 21.5,26.3
この糖尿病有病率は,日本人を対象とした研究でこれまで報告された有病率にくらべ,かなり高いものであり,この増加の原因究明が期待される。