[1988年文献] 1960~80年代にかけ,男性の高血圧は大幅に減少,軽症高血圧は微増。脳卒中は有意に減少したが,心筋梗塞は有意差なし
高血圧と軽症高血圧の割合および長期的な予後を,1960年代および1970~80年代のコホートで比較した。その結果,降圧薬服用率が増加していた第2集団では,第1集団に比べて血圧,死亡率,脳卒中発症率が改善していたが,心筋梗塞に変化はなかった。日本人における高血圧および軽症高血圧の管理は,冠動脈疾患よりも脳卒中の予防に効果的だと考えられる。
Ueda K, et al: Prevalence and long-term prognosis of mild hypertensives and hypertensives in a Japanese community, Hisayama.J Hypertens 1988; 6: 981-9.
- コホート
- 第1集団: 40歳以上の1658人のうち,脳卒中既往のある25人,死亡・転居12人を除いた1621人(1961~1971年,10年間)。追跡率99.9 %,剖検率80 %。
第2集団: 40歳以上の2135人のうち,開始後1年半以内に死亡した28人,心血管疾患既往のある54人を除いた2053人(1974~1984年,10年間)。追跡率100 %,剖検率84 %。 - 結 果
- WHO/ISH1986の定義に基づき,拡張期血圧99 mmHg未満を正常血圧,90~104 mmHgを軽症高血圧,105 mmHg以上を高血圧とした。
男性の高血圧は,第1集団から第2集団にかけて大幅に減少した(5.7 %→2.2 %,P<0.01)。女性では有意差なし。
すべての年齢層・性別で,軽症高血圧が高血圧全体の6割以上を占めた。
正常,軽症高血圧,高血圧の比率正常 (%) 軽症高血圧 (%) 高血圧 (%) 第1集団 第2集団 第1集団 第2集団 第1集団 第2集団 男性 79.5 82.5 14.9 15.3 5.7 2.2 ** 女性 83.5 85.2 13.7 12.6 2.8 2.2 *P<0.05,**P<0.01 vs. 第1集団
第1集団から第2集団にかけ,降圧薬の服用率は,ほぼすべての年齢層・性別において有意に増加した。男性の高血圧および軽症高血圧群の平均収縮期血圧は有意に減少した。
第2集団の女性において,追跡期間中の平均拡張期血圧の減少度は,第1集団より有意に大きかった。
第1集団の生存率は,高血圧群および軽症高血圧群で,正常群より有意に低かった。第2集団では生存率が好転し,各群間に有意差はみられなかった。
第1集団の生存率減少速度は,第2集団よりも有意に大きかった。
心血管疾患の病型別累積発症率を見ると,第1集団の軽症高血圧および高血圧の男性では,正常に比べ脳出血の発症率が有意に高かった。
第1集団から第2集団にかけ,脳出血および脳梗塞の発症率は有意に減少したが,心筋梗塞では有意差なし。
第1集団から第2集団にかけ,女性の軽症高血圧および高血圧群の心筋梗塞発症率は増加した。
◇ 結論
高血圧と軽症高血圧の割合および長期的な予後を,1960年代および1970~80年代のコホートで比較した。その結果,降圧薬服用率が増加していた第2集団では,第1集団に比べて血圧,死亡率,脳卒中発症率が改善していたが,心筋梗塞に変化はなかった。日本人における高血圧および軽症高血圧の管理は,冠動脈疾患よりも脳卒中の予防に効果的だと考えられる。