[1981年文献] 1960~70年代にかけ,脳出血および脳卒中の発症率は減少傾向を見せたが,脳梗塞の死亡率は微増した
日本人一般住民を対象とした前向きコホート研究において,1961~1976年における脳卒中の発症率および死亡率の長期的な推移を調査した。その結果,脳出血および脳梗塞の発症率は経時的に減少した。脳出血死亡は男性においてのみ減少しており,脳梗塞死亡率は男女ともわずかに増加した。
Ueda K, et al: Decreasing trend in incidence and mortality from stroke in Hisayama residents, Japan.Stroke 1981; 12: 154-60.
- コホート
- 40歳以上の1658例のうち,脳卒中による片麻痺25例,転居・死亡12例を除いた1621例(1961~1976年,15年間)
- 結 果
- 脳卒中発症は203例で,うち171例が死亡した。脳卒中例での剖検率は87.7%(150例)。
脳出血の発症は34例で,うち29例が発症後2週間以内に死亡した。
脳梗塞の発症は142例で,うち112例が追跡期間中に死亡した。脳梗塞が直接の死因と考えられたのは61例で,脳出血による死亡も5例あった。
くも膜下出血は14例(死亡13例),病型不明は7例(死亡6例)と症例数が少ないため,本研究では除いた。
脳出血および脳梗塞の発症率は,年齢層とともに増加した。
男性の脳出血の発症率は女性の約3倍,脳梗塞では約2倍。
脳梗塞の発症は追跡期間を通して脳出血より多く,男性で脳出血の3.2倍,女性で5.2倍だった。
脳出血の発症率には経時的な減少傾向が見られたが,有意差はなし。
脳梗塞の発症率は,女性で顕著に減少し,全体としても有意に減少した。
脳出血,脳梗塞ともに,女性に比べて男性の死亡率が高かった。
脳梗塞の死亡率は男性で脳出血の1.5倍,女性で2.0倍だった。
脳出血の死亡率は経時的な減少傾向が見られたが,有意差はなし。
脳梗塞の死亡率は経時的な増加傾向が見られたが,有意差はなし。