[2013年文献] 血清アンジオポエチン様蛋白2高値は糖尿病の独立した危険因子

これまでに肥満や炎症との関連が指摘されているアディポカインであるアンジオポエチン様蛋白2(Angptl2)と糖尿病発症リスクとの関連について,一般住民を対象に検討したはじめての研究。平均6.0年間の追跡の結果,血清Angptl2は,既知の危険因子とは独立した糖尿病発症の危険因子であることが示された。

Doi Y, et al. Angiopoietin-like protein 2 and risk of type 2 diabetes in a general Japanese population: the hisayama study. Diabetes Care. 2013; 36: 98-100.pubmed

コホート
2002年の健診を受診し,経口糖負荷試験(75 g OGTT)を受けた40~79歳の2822人のうち,糖尿病(新規または既往)のある人,血清アンジオポエチン様蛋白2(Angptl2)*のデータのない人,追跡健診を受診しなかった人などを除いた2164人(男性865人,女性1299人)を平均6.0年間追跡。

血清Angptl2*の四分位により,全体を以下のカテゴリーに分けて解析を行った。
  ≦2.15 ng/mL(541人),2.16~2.71 ng/mL(541人),2.72~3.40 ng/mL(541人),≧3.41 ng/mL(541人)

*アンジオポエチン様蛋白2(Angptl2): アディポカインの1つ。血管新生を促進するアンジオポエチンに類似した構造をもつ蛋白質ファミリーに属し,N末端側にcoiled-coilドメイン,C末端にフィブリノゲン様ドメインを有する。脂肪組織やマクロファージに豊富に発現しており,ヒトの肥満や炎症に密接に関わっている。
結 果
平均年齢58.6歳,男性40.9%。

血清アンジオポエチン様蛋白2(Angptl2)のカテゴリーごとの糖尿病発症の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は以下のとおりで,Angptl2が高いほどリスクが高くなる有意な傾向がみられた(P for trend=0.03)。
年齢,性,糖尿病家族歴,空腹時インスリン,高分子量アディポネクチン,BMI,トリグリセリド,HDL-C,高血圧,アルコール摂取,喫煙,定期的な身体活動,高感度CRP)

  ≦2.15 ng/mL: 1(対照)
  2.16~2.71 ng/mL: 1.51(0.95-2.40)
  2.72~3.40 ng/mL: 1.25(0.78-2.00)
  ≧3.41 ng/mL: 1.80(1.14-2.85),P=0.01

◇ 結論
これまでに肥満や炎症との関連が指摘されているアディポカインであるアンジオポエチン様蛋白2(Angptl2)と糖尿病発症リスクとの関連について,一般住民を対象に検討したはじめての研究。平均6.0年間の追跡の結果,血清Angptl2は,既知の危険因子とは独立した糖尿病発症の危険因子であることが示された。


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